犯罪を行ったとして起訴されてしまうと刑事裁判が始まります。この刑事裁判はどのような流れで進むのでしょうか。
そこで以下では、刑事裁判の流れについて解説します。
犯罪発生から刑事裁判までの流れ
犯罪発生から刑事裁判までの流れを簡単に確認しましょう。
- 犯罪発生
- 捜査
- 逮捕
- 勾留
- 起訴
犯罪発生
犯罪が発生します。犯罪発生時に現行犯逮捕されると、すぐに身柄を拘束されます。
捜査
犯罪について捜査が行われます。被疑者に任意の事情聴取をするために、警察署に呼び出されることもあります。
逮捕
容疑が固まると、被疑者は逮捕されます。警察が裁判官に逮捕状を請求し、逮捕状に基づいて被疑者の身柄を拘束します。犯罪が軽微で、逃亡や罪証隠滅の恐れがない場合には、逮捕されずに在宅のままで手続きが進むこともあります。
送検
警察から検察に身柄が送られます(送検)。検察で引き続き取調べなどの捜査が行われます。
勾留
逮捕から72時間以内に検察官が勾留の請求をします。勾留の請求が行われると、最大で20日(一部事件では23日)間、身柄が拘束されます。この間に起訴・不起訴が決められます。
起訴
検察官が起訴相当とした場合には起訴され、刑事裁判が始まります。なお、略式手続や即決裁判手続といった簡易な手続きもありますが、本記事では通常の刑事裁判について解説します。
刑事裁判の流れ
刑事裁判は大きく次のような流れで進みます。
- 冒頭手続
- 人定質問
- 起訴状朗読
- 黙秘権の告知
- 罪状認否
- 証拠調べ手続
- 冒頭陳述
- 検察官の立証
- 弁護側の立証
- 証人尋問
- 被告人尋問
- 弁論手続
- 論告と求刑
- 弁護側の弁論
- 被告人の意見陳述
- 結審
- 判決言渡し
冒頭手続
刑事裁判は、まず冒頭手続から始まります。
人定質問
刑事裁判の被告人が本当に本人であるかどうかの確認をする、人定質問が行われます。裁判官から被告人に対して氏名・職業・生年月日などが質問され、被告人がこれに答えることで確認が行われます。
起訴状朗読
検察官が起訴状を読み上げる、起訴状朗読が行われます。起訴状には犯罪事実が記載されており、これを検察官が読み上げます。
黙秘権の告知
裁判官が被告人に対して黙秘権があることを告知します。黙秘権とは、被告人が供述しない権利のことをいいます。被告人が供述しないことを理由に有罪とされることはありません。
罪状認否
被告人に対して罪を認めるかどうかを尋ねる、罪状認否が行われます。罪を認める、認めない(否認する)の他、一部のみを認めることもできます。
証拠調べ手続
冒頭手続が終わると、証拠調べ手続が行われます。
冒頭陳述
被告人の生い立ちから、犯罪に至る動機や経緯、犯行の様子など、検察が考えるストーリーを示す、冒頭陳述が行われます。被告人が罪を認めていない否認事件の場合には、弁護側も冒頭陳述を行います。
検察官の立証
検察官による証拠の立証が行われます。検察官が証拠の取調べを請求し、裁判官が証拠として採用するもののみが取調べの対象となります。検察官が請求した証拠について、弁護側が意見を述べることができます。
弁護側の立証
同じように弁護側からも証拠の取調べを請求します。裁判官が証拠として採用すれば取調べの対象となります。
証人尋問
証人がいる場合には証人尋問が行われます。証人の請求をした側から主尋問が行われ、次に相手から反対尋問が行われます。最後に裁判官から質問が行われます。証人尋問はまず犯罪に関する証人から始まり、その後、情状証人への尋問が行われます。
被告人尋問
最後に被告人に対する尋問が行われます。犯罪に関する尋問・情状に関する尋問両方が対象です。
弁論手続
証拠調べ手続が終わると、弁論手続によって刑事裁判を締めくくります。
論告と求刑
証拠調べ手続の結果などをもとにして、事実関係や法的問題点について整理し、被告人の処罰について意見を述べる論告と、刑について述べる求刑が行われます。
弁護側の弁論
検察官の論告と求刑に応じて、弁護側も事実関係や法的問題、量刑についての意見を述べます。(弁論)
被告人の意見陳述
最後に裁判官から被告人に意見を述べるように求められます。
結審
以上の手続きが終わると、刑事裁判は結審します。この時、判決言渡しの期日が決まります。被告人が罪を認めている場合は、1回で終了することもありますが、罪を認めていない場合や、共犯者が多数いる、または事件が重大である場合には、数回に分けて期日が開かれます。
判決言渡し
判決言渡し期日に再度出廷します。主文として有罪・無罪と刑罰が言い渡された後、その理由や、今後反省をし、どのような人間になって欲しいかなどが述べられます。死刑判決が出る場合、先に理由が述べられ、最後に死刑が言い渡されます。
まとめ
刑事裁判の流れについて解説しました。刑事裁判は、人に対して刑罰という重大な人権制限を科すものであるため、その手続きは慎重に進められます。
刑事事件を起こしてしまった場合には、起訴されて裁判になる前に、被害者と示談を行うなどして起訴を回避することが重要です。そのためにも、できるだけ早く弁護士に相談・依頼し、不利益な取り扱いを避けるようにしましょう。