略式手続・即決裁判手続について

略式手続・即決裁判手続について

刑事裁判は、必ずしもすべてが正式な公判手続によって行われるとは限りません。一定の場合に「略式手続」「即決裁判手続」という簡易な手続きが刑事訴訟法によって用意されています。これらの手続きを利用すれば、通常の刑事裁判よりもスピーディーに進み、本人の負担を軽減できますが、デメリットや注意点も存在します。

そこで以下では、「略式手続」と「即決裁判手続」について解説します。

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目次

略式手続とは

略式手続とは、簡易裁判所の管轄に属する100万円以下の罰金または科料に相当する事件について、被疑者に異議がなければ、正式な刑事裁判によらないで書面により審査する手続きのことをいいます。

通常の公判手続のように裁判所に集まって手続きが行われるのではなく書面による審査のため、手続きがスピーディーに進みます。

略式手続のメリット

略式手続のメリットには次の3つがあります。

裁判所に出頭する必要がない

通常の公判手続が行われると、裁判官・検察官・被告人の三者が揃った公開の法廷で行われるため、被告人は裁判所に出頭する必要があります。略式手続は公判手続が行われないので裁判所に出頭する必要がありません。

裁判が非公開である

略式手続は公判手続のように公開の法廷で行われるわけではなく、非公開で行われます。そのため他人に裁判の様子を見られることはありません。

略式手続は早く終わる

公判手続だと早くても1か月〜2か月程度の期間がかかります。略式手続は早ければ2週間、遅くとも1か月程度の期間で手続きが終了します。また、逮捕・勾留中である場合に行われる「在庁略式」と呼ばれる、さらに簡易な方法の場合、検察官の請求から略式命令の謄本の交付まで1日で終わる場合もあります。

略式手続のデメリットとは?

一方で、略式手続のデメリットには次の3つがあります。

略式手続の対象は限られている

略式手続の対象は、簡易裁判所で扱う事件で100万円以下の罰金または科料に相当する事件に限られます。そのため、それ以外の場合には利用できません。

裁判官に直接主張できない

略式手続では書面のみで審査が行われるため、公判事件のように、検察官の主張や証人の証言に対して、裁判官に口頭で反論や主張をすることはできません

裁判を受ける権利が制限される

公開の法廷で裁判を受けるのは、不当な裁判をされないようにするための被告人の権利です。裁判が公開されないことは、被告人の裁判を受ける権利が制限されることになります。そのため、被告人に異議がないことが要件とされます。

即決裁判手続とは

即決裁判手続とは、刑事事件の内容が明白かつ軽微であり、証拠調べが速やかに終わると見込まれる場合などに、即日で判決をする簡易な裁判手続です。

被疑者の同意はもちろん、被疑者が不利益を受けないように弁護人の同意も必要です。

即決裁判手続のメリット

即決裁判手続には次のメリットがあります。

必ず執行猶予を得られる

通常の公判手続では、実際に判決が下るまで執行猶予がつくかどうかがわかりませんが、即決裁判では、必ず執行猶予が付されることになっています実刑を避けることができるので、刑務所に収監されることによる社会的な不利益や、裁判期間中の不安を避けられます。

手続きが早く終わる

公判ではどんなに早くても1か月~2か月の期間が必要ですが、即決裁判手続では起訴から14日以内の期日が指定され、その日に判決が言い渡されます。審理時間もおよそ30分程度と、非常にスムーズです。

即決裁判手続のデメリット

一方で、即決裁判手続には次のようなデメリットもあります。

事実誤認などを主張できない

裁判で事実誤認などを主張して、控訴や上告が認められないというデメリットがあり、争いたい場合には通常裁判による必要があります

反省がなく再犯を防止できない

即決裁判手続となると執行猶予がつき、手続きが簡単に終わることで、反省の機会が乏しく、再犯防止につながらないというデメリットもあります。

簡易公判とは

なお、同じように手続き負担を軽減する制度に簡易公判というものがあります。

簡易公判とは、被告人が有罪である旨の陳述をした自白事件において、証拠調べを簡略化する公判手続です。公判手続を開くのですが、冒頭陳述で被告人が有罪である旨を述べなければ利用できないため、検察官は従来通りの準備が必要であり、実務上、あまり利用されていないのが現状です。

まとめ

本記事では、「略式手続」と「即決裁判手続」について解説しました。

これらは、一定の要件のもとで手続きを簡略化するために設けられた制度です。いずれにもメリットとデメリットがあり、被告人の同意がなければ利用することはできません。利用すべきか迷った場合は、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

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