刑事事件と民事事件の違い

刑事事件と民事事件の違い

犯罪を犯してしまった場合、刑事事件と民事事件によって責任が追及されます。では、刑事事件と民事事件はそれぞれどのようなものでしょうか?

そこで以下では、刑事事件と民事事件の違いについて解説します。

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目次

犯罪を犯してしまった場合の責任

犯罪を犯した場合、その人には主に「刑事責任」と「民事責任」が問われます。

刑事責任は、社会秩序を守るために、国家が加害者に対して科す処罰です。これには罰金や懲役などの刑罰が含まれます。一方、民事責任は、被害者に対して損害を与えた場合に、損害の補填や慰謝料、損害賠償を支払う責任です。

刑事事件とは

刑事事件とは、刑法などに定められた犯罪行為があった場合に、加害者に対して国家が刑罰を科すための手続きです。警察や検察といった捜査機関が捜査を行い、被疑者を刑事裁判にかけることになります。ケースによっては、略式手続即決裁判手続により刑罰が科せられることもあります。

刑事事件の目的は、犯罪の処罰を通じて社会秩序を維持し、再犯を防止することです。

刑事事件で科される刑罰は以下のようなものがあります。

刑事事件で科される主な刑罰
  • 死刑
  • 懲役
  • 禁錮
  • 罰金
  • 勾留
  • 拘留
  • 科料

刑事事件では、訴追する主体は被害者ではなく、国家が主体となります。これは、国家が犯罪に対して刑罰を科すためです。

民事事件とは

民事事件とは、個人と個人または法人との間の権利や義務に関する紛争を解決するための手続きです。

民事事件の例
  • 貸したお金が返ってこない
  • 交通事故で損害を受けた
  • 不動産の権利をめぐる争い など

これらの紛争は当事者の一方がもう一方に対して損害賠償請求などの訴訟を起こすことで解決を図ります。民事事件は個人間の権利や義務の内容を確定するものです。

刑事事件と民事事件の違い

刑事事件と民事事件には次のような違いがあります。

目的

刑事事件は犯罪を犯した人に刑罰を科すことで、犯罪の処罰による社会秩序の維持と、再犯の防止が目的です。

一方で、民事事件は個人の民事上の権利を救済することが目的です。

刑事事件と民事事件ではその目的が異なります。

内容

刑事事件は、犯罪行為を行った者に対して国家が処罰をするという内容です。

一方で、民事事件は私人間で発生した民事上の権利義務に関するトラブルを解決するという内容です。

たとえば犯罪を犯した人がお金を支払う場合でも、刑事事件では罰金として国に納めることになり、民事事件では被害者に支払うことになります。両者はその内容が異なります。

当事者

刑事事件の当事者は、加害者(被疑者・被告人)と、それに対して訴追を行う国家(検察官)です。

一方、民事事件の当事者は、あくまで当事者間の争いであり、原告(訴えを起こす人)被告(訴えられる人)になります。

つまり、刑事は国家vs個人、民事は個人vs個人(または法人)という構図になります。そのため、被害者は刑事事件では手続きの主体にはなりません。一方で民事事件では原告として当事者となります。

裁判を始める人

刑事事件では、捜査を行った上で検察官が起訴することで裁判が始まります。

一方、民事事件では、原則として当事者自身が裁判所に訴訟を提起します。

そのため被害者は刑事事件では裁判を始めるかどうかの権限は原則ないのですが、一方で当事者となる民事事件では裁判を始める権限があります

なお、刑事裁判においては検察の不起訴が不服である場合、検察審査会という機関で、検察官が不起訴としたものの良し悪しを判断し、場合によっては強制的に起訴させる制度があります。この場合には弁護士が起訴を行うことになっており、被害者は関与できません。

根拠となる法律

刑事事件は、刑罰を定める刑法をはじめとする法律と、刑罰を科すための手続きを定める刑事訴訟法に基づきます。

一方、民事事件は、民法商法会社法など個人・法人の権利や義務を定める法律と、民事訴訟手続について定める民事訴訟法などの手続に関する法律に基づきます。

刑事事件と民事事件ではそれぞれ根拠となる法律が異なります。

手続き

刑事事件では、警察や検察による捜査が行われた後、検察官の判断で起訴され、刑事裁判が開かれます。証拠の提出や証人尋問などを経て、有罪・無罪や刑罰の内容が決定されます。警察や検察による捜査には、身柄を拘束する逮捕・勾留といったものや、証拠を発見し押収する捜索・差押えといった方法が用いられます。

一方、民事事件では、原告が訴えを提起し、被告が答弁書を提出するなどして、主張と証拠を出し合いながら裁判が進行します。刑事事件のように強制的な手段はありません。

また、民事事件では裁判官が和解を勧めることもあり、判決に至る前に和解で終結するケースも多いです。一方、刑事事件には和解の制度はありません

参考:行政責任に関する行政事件とは

刑事事件に該当する行為を行った場合でも、同時に行政責任が問われることがあります。行政責任とは、行政上の目的を達成するために、一定の行為を行った者に対して行政機関が科す責任のことをいいます。

たとえば、ひき逃げをした場合、道路交通法に基づいて刑事事件として処罰されるだけでなく、運転免許の取消処分といった行政処分が科されることがあります。

また、ひき逃げをしていないにもかかわらず免許の取消処分を受けた場合には、その処分の撤回を求めて裁判を起こすことができます。このように、行政責任に関する争いは「行政事件」と呼ばれ、行政事件訴訟法などに基づく手続きによって審理されます。

まとめ

刑事事件と民事事件は、目的、当事者、手続き、そして根拠となる法律などがそれぞれ異なります。刑事事件は「犯罪に対する国家の制裁」を目的とし、民事事件は「個人間の紛争解決」を目的としています。

場合によっては、ひとつの出来事に対して刑事責任と民事責任の両方が問われることもあります。さらに、交通事故のようなケースでは、行政上の処分を受けることもあり、行政責任が発生する場合もあります。こうした点にも注意が必要です。

特に刑事責任を負う場合、つまり起訴されて有罪となると、たとえ執行猶予がついたとしても前科がつき、社会的な不利益を免れることはできません。起訴を避けるためにも、できるだけ早い段階で弁護士に依頼し、効果的な対応をとることが重要です。

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