同じ大麻の所持でも、自分で使用するための単純所持と、他者に販売するための営利目的所持とでは、適用される罪名も刑罰も大きく異なります。違法薬物を社会に蔓延させる営利目的所持については、単純所持よりも重く処罰されます。
営利目的所持の場合、初犯でも執行猶予がつかず実刑判決となるケースも少なくありません。
今回は、営利目的所持とは何か、単純所持との刑罰の比較、営利目的の認定方法などを解説します。
なお、大麻で逮捕された場合の一般的な流れについては、以下の記事も併せてご覧ください。

大麻の営利目的所持とは?
「営利目的」とは、自己使用目的ではなく、他者に譲渡することで財産上の利益を得ることを目的とするものです。
実際に大麻を販売して利益を得ていなくても、営利目的が認められれば犯罪は既遂となります。
たとえば、販売目的で大麻を密輸した場合、大麻を受け取った段階で逮捕されて実際の販売行為にまで至らなくても営利目的所持罪が成立します。
大麻の営利目的所持と単純所持の罰則比較
大麻所持罪は、2024年12月の法改正により、法定刑が引き上げられました。また、営利目的所持は、単純所持と比較して重く処罰されます。
具体的な罰則は、次のとおりです。
| 単純所持 | 7年以下の拘禁刑 |
| 営利目的所持 | 1年以上10年以下の拘禁刑または情状により300万円以下の罰金を併科 |
営利目的所持が単純所持よりも重く処罰されるのは、単に自己の健康を害するだけでなく、違法薬物を社会に蔓延させるという社会的な法益を害する犯罪であるためです。
大麻や覚せい剤などの違法薬物販売による利益は、反社会的勢力の資金源として活用されるケースも多く、その点も営利目的の所持が重く処罰される理由の1つとなっています。
大麻営利目的所持の量刑相場
単純所持か営利目的所持かは、実際の量刑にも大きな影響を与えます。
単純所持の場合、初犯であれば1年から2年程度の拘禁刑に、3年から4年程度の執行猶予が付くケースが多くみられます。ただし、再犯の場合や同種前科がある場合には、実刑判決となる可能性が高くなります。
営利目的所持の場合は、初犯であっても実刑判決となる可能性が高くなります。量刑の相場としては、3年から6年程度の拘禁刑に、150万円から200万円程度の罰金刑が併科されるケースが多くみられます。
このように、営利目的所持については適用される罰則が重くなるだけでなく、実際の量刑相場としても単純所持と比較して格段に重く処罰されています。
営利目的はどのように認定されるか
目的の有無を判断するのは被疑者の供述だけではありません。営利目的の有無は、客観的な事情を総合考慮して判断されます。
営利目的を疑われる客観的事情としては、次のようなものが挙げられます。
- 所持量(個人の使用として不自然な量)
- スマホの履歴(顧客とのやり取り、顧客リストの存在)
- SNSの履歴(売り子の募集、購入の呼びかけ)
- 大麻と一緒に計量器や小分け袋が発見された
- 多額の現金を所持していた など
近年、SNSで隠語を利用した大麻の取引が横行しています。SNSでの取引は証拠が残りやすく、営利目的を認定する決定的な証拠となるケースも少なくありません。
営利目的所持で実刑判決を回避するには?
大麻の営利目的所持で起訴された場合、実刑判決を受けるリスクは極めて高くなります。営利目的所持で執行猶予が認められる可能性を残すには、次のような要素が重要となるでしょう。
- 反省の態度を示していること
- 捜査に協力的であること
- 組織的な犯罪ではないこと
- 販売の規模が小さいこと、多額の利益を得ていないこと
- 家族による監督体制が整っていること
- 具体的な再犯防止策を提示していること など
執行猶予判決の可能性を残すには、早い段階から薬物事件に強い弁護士へ相談することが重要です。
逮捕直後から弁護士が介入すれば、取調べでの不利な供述を防ぎ、客観的な証拠を整理して営利目的所持での起訴を防げる可能性もあります。
営利目的所持で起訴された場合でも、再犯防止に向けた具体的な取り組みや証拠を積み重ねることで、重い処罰を回避できる可能性があります。
まとめ
大麻の所持で営利目的が認定されると、初犯でも実刑判決となる可能性が高くなります。
営利目的の有無は客観的な事情により判断されますが、被疑者の供述も重要な判断要素の1つとなります。営利目的での起訴を避けるには、逮捕直後から薬物事件に強い弁護士に依頼して、取調べでの不利な供述を避けることが重要です。
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