家宅捜索について

家宅捜索について

刑事事件の被疑者となると、証拠隠滅を防ぐために、突然身柄を拘束されると同時に家宅捜索が行われることがあります。では、家宅捜索とはどのようなもので、どのような場合に実施されるのでしょうか。

そこで以下では、家宅捜索について解説します。

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目次

家宅捜索とは

家宅捜索とは、警察や検察といった捜査機関が、裁判所が発付する令状に基づいて個人の住居や勤務先などを捜索し、犯罪の証拠となる物品を押収する手続きです。実務では「ガサ入れ」とも呼ばれるもので、相手の意思に反して行われる強制的な手続きです。相手の人権に対する侵害行為であるため、憲法第35条で、令状なしでは行えないとされ、具体的な手続きについて刑事訴訟法などで定められています。

もっとも、現行犯逮捕をする場合に現場で凶器を差し押さえるなど、現行犯逮捕の現場では、令状なしで捜索・差押えが行われます

家宅捜索が行われるのはどういう場合?

家宅捜索は、捜査機関が「特定の場所に犯罪の証拠が存在する可能性が高い」と判断した場合に行われます。たとえば凶器を用いた傷害事件で、自宅に凶器を隠しもっている場合に、その凶器を押収する目的で実施されます。押収した物から、さらに事案の解明につながる可能性がある場合も同様です。

家宅捜索はどのようなタイミングで行われるか

家宅捜索が行われるタイミングは、証拠の確保が必要と考えられるとき、または被疑者の逮捕に合わせて行われることが一般的です。捜査の初期段階、特に被疑者がまだ逮捕されていない段階でも、証拠を確保するために先に家宅捜索が行われることがあります。逆に、逮捕後にその人物の住居や関係先を調べるという形で実施される場合もあります。早朝から午前中にかけて行われることが多く、これは被疑者が在宅しており、証拠が移動・破棄される前に確保する狙いがあります。当然ながら、証拠隠滅を防ぐ観点から何の予告もなく突然行われる点に注意が必要です。

家宅捜索の流れ

家宅捜索の流れ
  1. 捜査機関が捜索差押許可状(令状)を取得
  2. 被疑者が家にいる時間を狙って対象の場所に訪問し令状を示す
  3. 証拠になり得る物品を探し押収する

家宅捜索は、まず警察や検察が裁判所に対して捜索差押許可状(令状)を請求し、裁判官に発付してもらいます。令状が発付された後、捜査員が対象の住居や施設に赴き、令状を提示します。対象者がその場所に不在であっても、令状があれば捜索は実施されます。捜査員は、証拠になり得る物品を探し、発見した場合にはそれを差し押さえます。その際に差し押さえた物について記録を作成し、押収品の一覧を対象者に交付します。時間の目安は1〜3時間程度です。

家宅捜索が行われる範囲は?

家宅捜索の範囲は、裁判所が発付した令状に記載された住所・場所に限定されます。そのため、令状に記載のない場所、たとえば隣接する別宅や、自宅に対する令状だけで勤務先のオフィスを同時に捜索することはできません。

家宅捜索は何度行われるか

家宅捜索は、原則として1回のみ行われることが多いです。ただし、1回しか行ってはいけないという決まりはありません。重大事件や組織的な犯行の場合などでは、最初の家宅捜索や捜索差押後の被疑者の供述によって、後に再度家宅捜索が行われる場合もあります。また、自宅のほかに職場のパソコンを差し押さえる場合には、自宅と職場を別々に行うこともあります。

家宅捜索は近隣の人にバレる?

テレビやドラマ、報道では、自宅前に大勢の捜査員が集まり、捜索差押えが行われる場面がよく見られます。確かに、暴力団事件や独占禁止法違反などの大規模事件では、そのような対応がとられ、実際に報道されることもあります。

しかし、一般的な家宅捜索ではそこまで目立つことは少なく、よほど大きな事件に関与していたり、玄関先で激しく抵抗したりしない限り、近隣の人に知られる可能性は高くありません

家宅捜索で押収された物はどうなるのか

家宅捜索で押収された物は、捜査機関が証拠として保管・分析した後、裁判の証拠として提出される可能性があります。たとえば、スマートフォンやパソコン、帳簿、通帳、現金などは内容を解析されたり、出所や用途を確認されたりします。捜査が終了し、不起訴や無罪となった場合には、返還請求によって押収品を取り戻すことが可能です。ただし、返還までには時間がかかることが多く、長期間手元に戻らない場合もあります。また、押収物が違法薬物や犯罪に使われた道具などの場合には没収されることになります。

まとめ

家宅捜索は、捜査機関が裁判所によって発付された令状に基づき、強制的に住居や関係先を捜索し、証拠品を押収する手続きです。証拠の確保や事件の全容解明のために行われるものの、プライバシーに踏み込む重大な捜査手段であり、厳格な手続きが求められています。

捜査の対象になった場合、逮捕・勾留による身柄拘束や家宅捜索が行われ、対応をどうすればいいか不安になる方も多いでしょう。対応を誤って不利益を被らないように、なるべく早い段階から弁護士に依頼し、適切な対応をすることをおすすめします。

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