初犯なのか再犯なのかは起訴・不起訴の判断や刑事裁判での量刑に影響します。初めて罪を犯した場合と、過去にも処罰歴がある場合とでは、社会的な評価や更生の可能性に関する見方も変わるためです。
そこで以下では、初犯と再犯の定義、両者の違いについてをわかりやすく解説します。
初犯と再犯の違い
初犯とは、これまでに有罪判決を受けたことがなく、今回が初めての犯罪であるケースを指します。一方、再犯とは、過去に有罪判決を受け、刑を終えた後に再び罪を犯すことをいいます。
この違いは、起訴・不起訴の判断、刑罰の重さ、執行猶予の有無などに大きく影響します。初犯の場合には更生の余地があるとして寛大な措置が取られることもありますが、再犯者には刑事責任がより重く問われ、実刑となる可能性も高くなります。
初犯とは
「初犯」とは、刑事事件でこれまでに処罰歴がなく、初めて有罪判決を受ける人のことをいいます。たとえ軽微な犯罪であっても、有罪判決が確定すれば、以後は再犯と見なされるようになります。
初犯の場合は一般に「更生の可能性が高い」と見なされ、不起訴処分とされたり、執行猶予が付されたり、軽い刑で済むことも少なくありません。
再犯とは
再犯とは、過去に有罪判決を受けたことがある人物が、刑の終了後に再び罪を犯すことを指します。再犯の場合、「更生の可能性が低い」「反省していない」などと判断されやすく、起訴されやすくなったり、初犯よりも重い処罰が下されることが一般的です。
特定の犯罪(覚醒剤や性犯罪など)においては再犯率が高いとされ、特別な再犯防止プログラムの対象となる場合もあります。
再犯者は、起訴猶予や執行猶予が認められにくく、実刑の可能性が高くなります。また、刑法第56条の規定に当てはまる場合には、拘禁刑の長期を2倍にする再犯加重規定がある点にも注意が必要です(刑法第57条)。
- 拘禁刑に処せられた者がその執行を終えた日から5年以内に更に罪を犯した場合で、その者を有期拘禁刑に処するとき
- 死刑に処せられた者がその執行の免除を得た日または減刑により拘禁刑に減軽されてその執行を終わった日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期拘禁刑に処するとき
たとえば、窃盗罪で拘禁刑(旧法における懲役)を受け、その執行が終わってから5年以内に再び窃盗を犯した場合、有期拘禁刑を選択する際には、法定刑の上限が10年から20年に引き上げられます。これにより、裁判所は15年の拘禁刑を言い渡すことも可能になります。
なお、執行猶予中である場合に罰金刑以上の罪を犯して刑に処せられた場合は、裁判所は執行猶予を取り消すことができるとしており、また拘禁刑以上の罪を犯して刑に処せられ執行猶予がつかない場合には、執行猶予を取り消さなければならないとしています(刑法第26条、刑法第26条の2)。
前歴がある場合とは?
「前歴」とは、犯罪に関与した記録のことを指します。警察に逮捕されたり事情聴取された経歴があると、それは「前歴」として扱われ、不起訴となった場合でも残ります。
前科とは異なり、法的な刑罰の履歴ではありませんが、捜査機関の記録として残っており、次に問題を起こした際に、「反省をしていない」「再度同じことをする可能性が高い」として、処分に影響を及ぼすことがあります。
たとえ有罪判決がない場合でも、前歴の存在は再犯リスクと見なされやすく、司法判断に影響を与える場合があります。
初犯と再犯の違い
初犯 | 再犯 | |
起訴・不起訴 | 起訴される可能性は低い | 起訴される可能性は高い |
刑罰 | 軽くなる | 重くなる |
執行猶予 | つきやすい | つきにくい |
保釈 | 認められやすい | 認められにくい |
刑務所での待遇 | 再犯ほど厳しくない | 厳しい |
就職や住居の確保 | 再犯ほど不利ではない | 不利 |
初犯と再犯では、起訴・不起訴の可能性・量刑・執行猶予で違いが生じます。
初犯の場合には起訴される可能性は低いですが、再犯の場合は起訴される可能性が高いです。また、起訴された場合、同じ犯罪であっても、初犯のほうが刑罰が軽く、再犯のほうが重くなりやすいです。
さらに、初犯の場合、情状が考慮されやすく、執行猶予がつく可能性が高いのに対し、再犯ではその可能性が低く、実刑となることが多くなります。とくに、同種の犯罪を繰り返している場合は「累犯」とされ、刑が加重されることもあります。
また、再犯者は保釈が認められにくくなり、刑務所では更生プログラムの対象となるなど、扱いが厳しくなる傾向があります。社会復帰の面でも、再犯歴のある人は就職や住居の確保などで不利になることが多いです。
まとめ
「初犯」と「再犯」は、同じ犯罪行為でも裁判や社会的評価に大きな違いをもたらします。初犯は情状が重視されやすく、再犯は厳罰化される傾向にあります。また、前歴の有無も処遇に影響を与える要素として見られるため、自分の立場を正確に理解するようにしましょう。
再犯してしまった場合、不起訴処分や軽い刑罰、執行猶予を得ることは、初犯のときよりも難しくなるため、早めに弁護士に相談・依頼することをおすすめします。