供述調書の重要性について

供述調書の重要性について

刑事事件や捜査の現場では、「供述調書(きょうじゅつちょうしょ)」という言葉が頻繁に登場します。これは、捜査機関が取調べの過程で作成する、供述内容を記録した文書であり、事件の真相解明や刑事裁判において重要な証拠として用いられることがあります。

しかし、供述調書に安易に署名してしまうと、後に不利な扱いを受けるおそれがあるため、慎重な対応が求められます。

そこで以下では、供述調書の意味や作成の流れ、署名前の注意点について解説します。取調べに備え、正確な知識を身につけましょう。

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目次

供述調書とは

供述調書とは、警察や検察官が取調べの際に、被疑者や参考人などの供述内容を文章として記録した文書です。刑事手続・刑事裁判においては重要な証拠として用いられます。

供述調書の内容は、捜査官の手によってまとめられ、最終的に署名・押印が行われることで完成します。ただし、一度作成・署名された供述調書は、本人にとって不利な証拠となる可能性があるため、内容の確認と慎重な対応が不可欠です。

供述調書を作成する流れ

供述調書を作成する流れ
  1. 取調べ
  2. 取調べ内容を文書化
  3. 調書の内容を本人に読み聞かせる
  4. 本人が署名・押印する

供述調書は、まず捜査官による取調べを通じて、本人の話した内容を捜査官が聞き取り、要点をまとめて文章化する形で作成されます。その後、調書の内容が本人に読み聞かされ、または自ら確認する機会が与えられます。本人がその内容に同意し、誤りがないと認めた場合に署名・押印を行い、調書が完成します。

この署名・押印によって、本人の意思に基づく供述として法的効力を持つことになりますが、実際には内容が正確に反映されていないこともあるため、注意が必要です。

供述調書が証拠とならない場合

供述調書は、原則として証拠能力を持ちますが、常に証拠として採用されるわけではありません。

たとえば、作成の過程で違法な取調べが行われた場合や、本人の自由意思に基づく供述でないと判断された場合などには、証拠能力が否定されることがあります。

また、裁判では「任意性」や「信用性」が厳しく審査されるため、たとえ署名済みであっても、証拠として採用されないこともあります。したがって、供述調書の作成には法的なルール慎重な対応が求められます。

供述調書へのサインを求められた場合の対応方法

警察や検察から供述調書への署名・押印を求められたときは、慎重な対応が必要です。

調書は一度署名してしまうと、その内容が証拠として扱われ、後から「そんなつもりではなかった」と主張しても簡単には覆せません。調書に記載された文章が、自分の発言の意図や事実と食い違っていないか、細部まで丁寧に確認することが重要です。

ここでは、署名前に特に注意すべきポイントを3つに分けて解説します。

一度有効に供述調書が作成されてしまうとどうなるか

供述調書は、署名・押印によって本人が内容に同意したとみなされ、正式な証拠として法的効力を持ちます。特に刑事裁判では、調書の内容が証言と異なる場合、調書の方が信用されることもあります。

つまり、一度作成されると、たとえその内容が不正確だったとしても、後から訂正するのは極めて困難になります。誤解に基づく内容であっても、そのまま裁判の証拠として扱われるおそれがあるため、署名前の確認が重要です。

細かい内容やニュアンスまで確認する

供述調書では、話した言葉の「要旨」が記録されるため、細かいニュアンスが変わってしまうことがあります。

たとえば「あいまいに答えた部分が断定的に記載されている」「軽く言ったつもりが重大な発言になっている」といったことは少なくありません。

したがって、調書を読み聞かされた際には、自分の意図とずれている箇所がないかを慎重にチェックし、理解できない表現や法律用語についてはその場で説明を求めるようにしましょう

納得がいかない場合には訂正・削除してもらう

供述調書の内容に少しでも違和感がある場合は、署名を保留し、必ず訂正や削除を求めましょう調書はあくまで本人の意思を反映するものであり、納得できない内容に署名する義務はありません

訂正を求めたにもかかわらず無理に署名を迫られた場合は、任意性に問題があるとして、後に証拠能力が否定される可能性もあります。毅然とした態度で、自分の言葉と事実に忠実な内容に修正させることが重要です。

まとめ

供述調書は、刑事事件の捜査・裁判において非常に重要な証拠となる文書です。一度署名・押印してしまうと、その内容が本人の意思表示として法的に認定される可能性が高く、後から刑事裁判で不利に働くことも少なくありません。

したがって、調書の内容は細部に至るまで丁寧に確認し、納得のいかない点はその場で訂正・削除を求めることが大切です。

取調べの場面では緊張や焦りもあるかもしれませんが、決して勢いで署名しないよう注意が必要です。弁護士に相談・依頼し、対応方法を確認したうえで、同席を求めることも検討しましょう。

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