薬物犯罪は初犯でも実刑になる?執行猶予の可能性は?

薬物犯罪は初犯でも実刑になる?執行猶予の可能性は?

薬物犯罪の初犯では、執行猶予が付くケースが多い傾向にあります。ただし、科される刑罰は、薬物の種類や適用される罪名などによって大きく異なります。そのため、事案の内容によっては、初犯であっても実刑判決となる可能性を否定できません。

本記事では、薬物事犯の量刑を決める要素主な薬物犯罪の罰則量刑相場についてわかりやすく解説します。

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目次

薬物犯罪の量刑を決める要素

薬物犯罪の量刑は、次の要素を総合的に考慮して決定されます。

量刑判断で考慮される主な要素
  • 同種前科の有無
  • 薬物の所持量、使用期間、使用頻度など
  • 目的(使用目的か営利目的か)
  • 再犯の可能性
  • 更生のための環境が整備されているか

薬物犯罪の前科がある場合、執行猶予の可能性は極めて低くなります。

執行猶予中の再犯は当然のこと、前回の犯罪から期間が空いており他の犯情が軽い場合であっても、実刑判決となる可能性は十分にあるでしょう。

所持の目的については、自己使用の目的よりも営利目的の方が重い処罰となる可能性が高くなっています。

たとえば、覚せい剤の場合、単純所持等の法定刑が10年以下の拘禁刑であるのに対し、営利目的所持等は1年以上の有期拘禁刑および500万円以下の罰金です。

薬物犯罪では、再犯の可能性が低いことや、更生に向けた環境が整っていることを示す弁護活動が重要となります。

裁判所に対し、再び薬物に手を出さないための具体的な取り組みを示すことが、量刑判断において大きな意味を持ちます。

主な弁護活動の例
  • 裁判官に対し、真摯に反省している姿勢を示すこと
  • 自助グループに参加し、継続的な更生努力を行うこと
  • 家族の監督や支援体制を整えること

主な薬物犯罪の罰則と量刑相場

ここでは、主な薬物犯罪と罰則を紹介します。

覚せい剤取締法

所持・使用・譲渡・譲受10年以下の拘禁刑(41条の2、41条の3第1項1号)
営利目的の所持・譲渡・譲受1年以上の有期拘禁刑または情状により1年以上の有期拘禁刑および500万円以下の罰金(41条の2第2項)
輸入・輸出・製造1年以上の有期拘禁刑(41条1項)
営利目的の輸入・輸出・製造無期もしくは3年以上の拘禁刑
または情状により無期もしくは3年以上の拘禁刑および1000万円以下の罰金(41条2項)
参照:覚醒剤取締法|e-Gov法令検索

初犯の場合、覚せい剤の所持・使用・譲渡・譲受については、拘禁刑1年6か月、執行猶予3年程度が量刑相場です。

営利目的の所持・譲渡・譲受や輸入・輸出・製造は、初犯であっても3年から5年程度の実刑となる可能性が高いといえます。

特に、営利目的の輸入・輸出・製造については、初犯であっても5年を超える実刑判決となるケースがほとんどです。

麻薬及び向精神薬取締法違反

麻薬及び向精神薬取締法違反の罰則は、対象となる薬物がヘロインか、それ以外の麻薬かによって異なります。

ヘロインに関する規制

所持・使用・譲渡・譲受10年以下の拘禁刑(64条の2第1項)
営利目的の所持・譲渡・譲受1年以上の有期拘禁刑または情状により1年以上の有期拘禁刑および500万円以下の罰金(64条の2第2項)
輸入・輸出・製造1年以上の有期拘禁刑(64条1項)
営利目的の輸入・輸出・製造無期もしくは3年以上の拘禁刑
または情状により無期もしくは3年以上の拘禁刑および1000万円以下の罰金(64条2項)

ヘロイン以外の麻薬(大麻、コカイン、MDMAなど)に関する規制

所持・使用・譲渡・譲受7年以下の拘禁刑(66条1項)
営利目的の所持・譲渡・譲受1年以上10年以下の拘禁刑または情状により1年以上10年以下の拘禁刑および300万円以下の罰金(66条2項)
輸入・輸出・製造1年以上10年以下の拘禁刑(65条1項1号)
営利目的の輸入・輸出・製造1年以上の有期拘禁刑
または情状により1年以上の有期拘禁刑および500万円以下の罰金(65条2項)
参照:麻薬及び向精神薬取締法|e-Gov法令検索

令和5年12月の大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法の改正により、大麻の使用・所持等が麻薬及び向精神薬取締法による規制対象となりました。

その結果、従来は処罰の対象とされていなかった大麻の使用罪が処罰対象となり、大麻の所持や譲渡等は従来より重く処罰されるようになっています。

なお、従来の大麻取締法は「大麻草の栽培の規制に関する法律」と名称が変更され、内容としても大麻の「栽培」を規制する法律へと改正されました。

ヘロインについては、覚せい剤取締法と同等の罰則となっており、初犯の場合の量刑相場も覚せい剤と同程度です。

大麻やMDMAなどについては、覚せい剤取締法よりは罰則が軽くなっており、執行猶予となる可能性も覚せい剤の場合よりも高くなっています。

その他の薬物犯罪

シンナーやトルエンなどの摂取・吸引は、毒物及び劇物取締法の規制を受けます。また、危険ドラッグは、医薬品医療機器等法の規制対象となる可能性があります。

いずれも、覚せい剤取締法や麻薬及び向精神薬取締法違反の罰則より軽く、初犯の場合には執行猶予となるケースがほとんどです。

薬物犯罪の再犯についてよくある質問

不起訴になる可能性はある?

薬物犯罪は、初犯でも起訴される可能性が高い犯罪です。不起訴となるのは、違法捜査に基づいて逮捕されたケースや証拠不十分のケースなどで、自白事件で不起訴を目指すのは難しいでしょう。

初犯の薬物犯罪における弁護士の役割は?

弁護士は、いつでも被疑者との接見(面会)が可能です。

初めての逮捕で不安を抱えている被疑者に対し、今後の流れや取り調べの対処法などのアドバイスを行うのは弁護士の重要な役割といえます。

さらに、薬物との関係を断絶させる、家族のサポートを得るなど、再犯を防止するための環境整備も弁護士に求められる役割の1つです。

まとめ

薬物犯罪は初犯の場合、執行猶予となる可能性が高くなっています。しかし、犯罪の内容や犯情によっては、初犯でも長期の実刑判決となることもあります。

少しでも処分を軽くするには、再犯を避けるための環境整備などの積極的な弁護活動が欠かせません。

初犯の薬物犯罪で執行猶予になるのか、実刑を避けられないかと不安を感じている方は、早めに弁護士へ相談・依頼することをおすすめします。

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