刑事事件
2026/09/10

大麻が自分のものではない場合はどうなる?|車・自宅・店舗などで発見された所持事件を弁護士が解説

はじめに

大麻事件では、
  • 「車の中から大麻が見つかりましたが、自分のものではありません。」
  • 「同居人と住んでいる家から大麻が出ました。」
  • 「店内にあった大麻について、自分が所持していたと言われています。」
  • 「複数人でいた場所から見つかったのに、なぜ自分の所持になるのでしょうか。」
といったご相談を受けることがあります。
大麻所持事件では、単に 「その場所から大麻が見つかった」 というだけで、直ちにその場にいた人全員の所持が成立するわけではありません。
一方で、 「自分のものではありません。」 と述べるだけで当然に不起訴になるわけでもありません。
実務上は、
  • 大麻の存在を認識していたか
  • 誰がその場所を管理していたか
  • 大麻がどこに保管されていたか
  • 誰が自由に出入りできたのか
  • 関係者がどのように供述しているか
  • スマートフォンや通信履歴にどのような記録があるか
など、さまざまな事情を踏まえて、本人の占有・支配下にあったといえるかが問題になります。
本記事では、大麻が車、自宅、店舗などから見つかった場合に、どのような事情から所持が判断されるのか、複数人が関係する事件で何が重要となるのかについて解説します。
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大麻の「所持」とは何か

大麻所持事件では、単に手に持っていた場合だけが問題になるわけではありません。
例えば、
  • ポケットに入れていた
  • バッグに入れていた
  • 自宅に保管していた
  • 車内に置いていた
といった場合にも所持が問題となります。
重要なのは、本人がその大麻について認識し、事実上支配・管理していたといえるかという点です。
したがって、 大麻が本人の身体から離れた場所にあったとしても、所持が成立する場合があります。
一方で、他人も自由に利用する場所から発見された場合などには、本当に本人の占有・支配下にあったのかが問題となります。

自宅から見つかったら必ず自分の所持になるのか

自宅から大麻が発見された場合、本人との結び付きは強く疑われやすくなります。
もっとも、
  • 配偶者
  • 内妻・内夫
  • 交際相手
  • 家族
  • ルームメイト
などと同居している場合には、誰がその大麻を管理していたのかが問題となることがあります。
例えば、
  • 本人しか使用しない部屋から見つかった
  • 本人の衣類や私物と一緒に保管されていた
という場合と、
  • 共用スペースから見つかった
  • 複数人が自由に出入りする場所だった
という場合では、事情が異なります。
したがって、 「同じ家に住んでいる=全員が共同所持」 と当然に決まるわけではありません。

共同所持が問題となることもある

複数人が大麻について認識し、共同して管理・支配していると認められる場合には、共同所持が問題となることがあります。
例えば、
  • 複数人で購入した
  • 共同で保管していた
  • 共同で使用していた
  • 保管場所を全員が把握していた
などの事情です。
もっとも、複数人がその場にいたというだけで共同所持になるわけではありません。
誰がどの程度大麻に関与していたのかを具体的に検討する必要があります。

車内から大麻が見つかった場合

車内から大麻が発見されるケースもあります。
例えば、
  • 自家用車
  • 社用車
  • 商用車
  • 友人と共用している車
などです。
本人しか使用しない自家用車から大麻が見つかった場合と、多数の従業員や関係者が使用する商用車から見つかった場合では、証拠関係が大きく異なります。
特に、
  • 誰が普段その車を使用しているのか
  • 発見場所はどこか
  • 車内のどの部分に保管されていたか
  • 他人が自由に触れられる場所だったか
  • 他の私物との位置関係
などが重要になります。

店舗・バーなど多数人が出入りする場所で見つかった場合

バー、店舗、事務所など、複数人が出入りする場所から大麻が発見されることもあります。
このような場合、 誰の所持といえるのか が大きな問題となることがあります。
例えば、
  • 従業員
  • 経営者
  • 関係者
など、多数の人物がその場所へ出入りしている場合には、発見場所だけから所持者を特定することが難しいケースもあります。
そのため、
  • 発見場所
  • 本人の行動
  • 防犯カメラ
  • 関係者の供述
  • 通信履歴
  • 大麻に関する知識や認識
などが問題となります。

「そこにあったことを知らなかった」という主張

大麻所持事件では、 「大麻があること自体を知りませんでした。」 という主張がされることがあります。
所持罪の成立には、通常、本人がその物が大麻であることを認識していたかという故意の問題があります。
したがって、本当に存在を知らなかった場合には重要な争点となります。
もっとも、 「知りませんでした。」 と述べるだけで足りるわけではありません。
例えば、
  • 保管場所
  • 本人との距離
  • 他の私物との関係
  • 通信履歴
  • 関係者の供述
  • 過去の使用状況
などと本人の説明が整合するかが検討されます。

複数人で大麻を回し吸いしていた場合

複数人で大麻を使用していた事案では、
  • 誰が大麻を持参したのか
  • 誰が購入したのか
  • 誰が管理していたのか
  • 誰がどのように使用したのか
が問題となります。
単にその場にいて使用したことと、所持していたことは同じではありません。
一方で、共同して大麻を管理していたと認められる場合には、共同所持が問題となることがあります。
このような事件では、関係者それぞれの供述内容が重要になります。

関係者の供述が重要になる

複数人が関係する大麻事件では、 「これはAさんの大麻です。」 「Bさんが持ってきました。」 「みんなで使っていました。」 など、関係者の供述が重要な証拠となることがあります。
もっとも、関係者の供述についても、
  • 内容が具体的か
  • 一貫しているか
  • 客観的証拠と一致しているか
  • 他の関係者の供述と整合しているか
などを確認する必要があります。
複数人の供述が食い違う事件では、その不一致がなぜ生じているのかも重要になります。

スマートフォンの通信履歴も問題になる

大麻所持を否認している事件でも、スマートフォンの解析が重要になることがあります。
例えば、
  • 購入に関する通信
  • 大麻を示す隠語のやり取り
  • 送金履歴
  • 使用予定に関する連絡
  • 関係者との会話
などが確認される場合があります。
本人が 「自分のものではありません。」 と説明していても、本人自身が大麻を購入したことを示す通信が残っていれば、その説明の信用性が問題となります。
一方で、通信履歴が本人の説明を裏付ける場合もあります。
そのため、否認事件では、本人供述と客観的証拠との整合性を慎重に検討することが重要です。

発見場所だけで結論は決まらない

大麻所持事件では、発見場所は重要な証拠です。
しかし、発見場所だけですべてが決まるわけではありません。
例えば、
  • 本人のポケット
  • 本人しか使わないバッグ
から見つかった場合と、
  • 共用車両
  • 共用スペース
  • 多数人が利用する店舗
から見つかった場合では、本人との結び付きの強さが異なります。
そのため、個別具体的な状況を丁寧に確認する必要があります。

所持を否認して不起訴になることはあるのか

あります。
例えば、客観的な証拠関係から本人の占有・支配を立証することが難しい場合には、不起訴となる可能性があります。
もっとも、 否認すれば不起訴になる という意味ではありません。
検察官は、
  • 発見状況
  • 本人供述
  • 関係者供述
  • 通信履歴
  • その他の客観的証拠
などを踏まえて、起訴するかどうかを判断します。
したがって、否認事件では、まず本当に本人の所持を立証できる証拠があるのかを検討することが重要です。

施用事件でも認識が問題になることがある

所持だけでなく、施用についても本人の認識が問題となる場合があります。
尿検査等で大麻由来成分が検出された場合でも、
  • どのような経緯で摂取したのか
  • 本人が大麻だと認識していたのか
  • 当時どのような環境にいたのか
などが重要となることがあります。
当事務所でも、施用が疑われたものの、本人が置かれていた環境や摂取に至った具体的な状況を整理し、本人が認識して施用したといえるかが問題となった事案で、不起訴処分となったケースがあります。
このように、薬物事件では、 検査結果や発見場所だけを見るのではなく、本人の認識や具体的な状況を検討すること が重要です。

否認事件では供述を安易に変えない

捜査を受ける中で、 「認めれば早く帰れる。」 「みんな認めている。」 などと言われ、不安から供述を変えてしまう方もいます。
もっとも、実際に自分の大麻ではないのであれば、事実と異なる内容まで認めることは避けるべきです。
一度認めた後に否認へ転じた場合には、 「なぜ最初は認めていたのか。」 が問題となることがあります。
反対に、実際には自分のものであるのに無理に否認を続けることが適切とも限りません。
重要なのは、 先に「認める・否認する」と決めるのではなく、実際の事実関係を正確に整理すること です。

やってはいけない行動

関係者と口裏合わせをする

複数人が関係する事件で、誰が何を話すかを事前に合わせることは避けるべきです。
証拠隠滅のおそれを疑われる可能性があります。

他人に責任を押し付けるため虚偽の説明をする

「全部あの人のものだ。」 などと、事実と異なる説明をすることは適切ではありません。
関係者供述や客観的証拠と矛盾すれば、自身の供述の信用性を損なう可能性があります。

売人や共犯者へ連絡する

捜査開始後に関係者へ連絡し、警察が何を把握しているのか確認しようとすることは避けるべきです。

第三者を介して証拠を処分する

家族や友人等へ依頼し、別の場所にある薬物や関係資料を処分させることも問題となる可能性があります。

事実を認める事件では再発防止も重要

検討の結果、本人の所持であることを認める場合には、その後は再発防止へ向けた対応も重要です。
大麻使用を伴う場合には、
  • 薬物専門医療機関への通院
  • 薬物関係者との関係を断つ
  • 家族による監督
  • 生活環境の見直し
などを検討することがあります。
起訴された事件では、これらの具体的な取組みを情状資料として裁判所へ示すこともあります。

否認事件で弁護士へ相談する意味

大麻の所持を否認している事件では、 「自分のものではないと警察へ言えば十分でしょう。」 と思われる方もいます。
しかし、実際には、
  • 発見場所
  • 占有・支配関係
  • 本人の認識
  • 関係者供述
  • 通信履歴
  • その他の客観的証拠
などを整理する必要があります。
弁護士へ早期に相談することで、
  • 本人の供述を整理する
  • どの事実が争点になるか確認する
  • 客観的証拠を検討する
  • 関係者供述との関係を整理する
  • 必要に応じて検察官へ意見書等を提出する
といった対応を検討できます。

よくある質問

Q 自宅から大麻が見つかったら必ず自分の所持になりますか。

必ずではありません。
誰がその場所を管理していたか、発見状況、本人の認識、同居人の存在などを踏まえて判断されます。

Q 車から大麻が出ました。運転していた私の所持になりますか。

運転していたという事実は一事情ですが、それだけで当然に所持が決まるわけではありません。
誰が車を利用していたか、発見場所、他の証拠などが問題となります。

Q 同居人の大麻でも私も逮捕されますか。

事案によります。
本人が大麻について認識し、共同して管理・支配していたと認められる場合には共同所持が問題となる可能性があります。

Q バーから大麻が見つかりました。店長の所持になりますか。

多数人が出入りする場所では、誰の占有・支配下にあったのかを具体的に検討する必要があります。
店長であるというだけで当然に所持が成立するわけではありません。

Q 友人と一緒に大麻を吸っただけでも共同所持になりますか。

使用したという事実と所持したという事実は別です。
ただし、共同で購入・管理していたなどの事情があれば共同所持が問題となる場合があります。

Q 自分のものではないと主張すれば不起訴になりますか。

その主張だけで決まるわけではありません。
本人供述と発見状況、関係者供述、通信履歴その他の客観的証拠を踏まえて判断されます。

まとめ

大麻所持事件では、 「大麻が発見された場所」と「誰が所持していたのか」は必ずしも同じ問題ではありません。
例えば、
  • 共同住宅
  • 共用車両
  • 商用車
  • バーや店舗
  • 複数人が利用する場所
から大麻が発見された場合には、本当に本人がその大麻を認識し、占有・支配していたといえるのかが問題となることがあります。
その判断では、
  • 発見場所
  • 本人の認識
  • 保管状況
  • 他の私物との関係
  • 関係者の供述
  • スマートフォンの通信履歴
  • 送金履歴
  • その他の客観的証拠
などが重要です。
また、複数人で大麻を使用していた場合でも、使用したことと、誰が大麻を所持していたかは区別して検討する必要があります。
一方で、 「自分のものではありません。」 と述べれば当然に不起訴になるわけではありません。
客観的な証拠と整合しない否認を続ければ、本人供述の信用性が問題となる場合があります。
否認事件で最も重要なのは、 結論を先に決めるのではなく、発見状況、本人の認識、占有・支配関係、関係者の供述などを具体的に整理すること です。
また、捜査開始後に、
  • 関係者と口裏合わせをする
  • 売人や共犯者へ連絡する
  • 第三者を介して証拠を処分する
  • 事実と異なる説明で他人へ責任を押し付ける
といった行動は避けるべきです。
大麻が車や自宅、店舗などから発見されたものの自分のものではない場合、共同所持を疑われている場合、関係者との供述が食い違っている場合には、できるだけ早い段階で薬物事件を扱う弁護士へ相談し、証拠関係と供述内容を具体的に検討することをおすすめします。
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