刑事事件
2026/09/17

覚醒剤で逮捕されたらどうなる?|逮捕後の流れ・勾留・起訴・刑罰と弁護士ができること

はじめに

「家族が覚醒剤で逮捕された。」
「警察から覚醒剤について話を聞きたいと連絡が来た。」
「職務質問で覚醒剤が見つかり、そのまま逮捕された。」
「尿検査で陽性反応が出た。これから逮捕されるのだろうか。」

覚醒剤事件では、突然の逮捕や家宅捜索によって事件が発覚することがあります。
また、職務質問をきっかけに覚醒剤の所持が発覚したり、尿検査の結果から覚醒剤の使用が疑われたりするケースもあります。
覚醒剤事件は、薬物事件の中でも刑事責任が重くなりやすい事件の一つです。
一方で、覚醒剤事件といっても、
  • 覚醒剤を使用した事件
  • 覚醒剤を所持していた事件
  • 使用と所持の双方が問題となる事件
  • 初犯の事件
  • 覚醒剤の前科がある再犯事件
  • 本人が使用や所持を否認している事件
など、事案によって問題となる点は異なります。
また、逮捕された後も、勾留、起訴、保釈、公判と刑事手続が進んでいくため、それぞれの段階に応じた対応が必要です。
当事務所では、覚醒剤の使用・所持事件をはじめ、初犯、再犯、否認事件、逮捕前の相談、逮捕・勾留後の接見、起訴後の保釈請求など、覚醒剤事件について幅広く相談・弁護を取り扱っています。
本記事では、覚醒剤事件で逮捕された場合にその後どのような手続が進むのか、また、本人や家族がどのような点に注意すべきかについて解説します。
刑事事件でお困りの方は
当事務所へご相談ください!

覚醒剤事件はどのように発覚するのか

覚醒剤事件が発覚する経緯は一つではありません。
実務上は、次のような経緯から捜査が始まることがあります。

職務質問から発覚するケース

警察官から職務質問を受け、その過程で覚醒剤や注射器などが発見されることがあります。
所持品から覚醒剤と疑われる物が発見された場合には、簡易検査などが行われ、その結果やその他の事情によって、その場で逮捕されることがあります。
また、その後の捜査で尿検査が行われ、覚醒剤の使用についても捜査対象となることがあります。

家宅捜索から発覚するケース

警察や捜査機関が既に一定の情報を把握しており、裁判官が発付した令状に基づいて自宅などの捜索が行われることもあります。
突然、自宅へ捜査員が訪れ、捜索の結果として覚醒剤が発見され、その場で逮捕されるケースもあります。
本人だけでなく、同居する家族にとっても突然の出来事となることがあります。

他の事件の捜査から覚醒剤事件へ広がるケース

覚醒剤の売買に関する捜査や、他の被疑者のスマートフォン、SNS、送金履歴などから関係者が判明し、新たな捜査へ発展する場合もあります。
薬物事件では、本人から覚醒剤が発見されたかどうかだけではなく、関係者とのやり取りや金銭の流れなどが捜査上重要となることがあります。

覚醒剤で逮捕されたらすぐに釈放されるのか

覚醒剤事件で逮捕された場合、必ず短期間で釈放されるとは限りません。
逮捕後は、警察・検察による捜査が進められ、検察官が勾留を請求し、裁判官が勾留を認めた場合には、逮捕後も身柄拘束が続きます。
覚醒剤事件では、
  • 覚醒剤の入手先
  • 一緒に使用した人物
  • 売買に関係した人物
  • 覚醒剤の保管状況
  • スマートフォン等に残されたやり取り
などについて捜査が行われることがあります。
そのため、事件の内容によっては、逃亡のおそれだけでなく、関係者との口裏合わせや証拠隠滅のおそれなどが問題とされ、身柄拘束が継続する場合があります。
「初犯だからすぐに帰れる」
「少量だから逮捕されない」
と一概に判断することはできません。

逮捕された後の刑事手続の流れ

覚醒剤事件で逮捕された後は、一般的に、
逮捕

検察官への送致

勾留請求

裁判官による勾留判断

捜査

起訴・不起訴の判断

起訴された場合は刑事裁判

という流れで進みます。
逮捕・勾留中は、本人の行動が大きく制限されます。
仕事へ行くこともできず、家族へ自由に連絡することもできません。
そのため、身柄拘束が長期化すると、
  • 勤務先への対応
  • 家族への説明
  • 住居や生活上の問題
  • 今後の治療先の確保
など、刑事事件以外の問題も生じることがあります。
弁護士が早い段階で接見することで、本人から詳しい事情を確認するとともに、家族との連絡や今後の弁護方針について検討することができます。

覚醒剤の使用と所持は別の犯罪になることがある

覚醒剤事件では、「使用」と「所持」がそれぞれ問題となることがあります。
例えば、自宅から覚醒剤が発見され、さらに尿から覚醒剤成分が検出された場合には、覚醒剤の所持だけではなく使用についても捜査される可能性があります。
もっとも、覚醒剤が発見されたからといって、直ちにその人物の所持が認定されるとは限りません。
刑事事件における「所持」が認められるためには、その覚醒剤が置かれていた場所、誰が管理していたのか、本人が覚醒剤の存在を認識していたのかなど、具体的な事情が問題となります。
例えば、
  • 複数人が利用する場所から発見された
  • 他人も自由に出入りできる場所だった
  • 同居人の物から発見された
などの事情がある場合には、誰が覚醒剤を所持していたのかが争点となることがあります。
一方、使用事件では、尿検査や鑑定結果などが重要な証拠となることがあります。
使用・所持のいずれについても、具体的な証拠関係を確認することが重要です。

尿検査で陽性になったら必ず有罪になるのか

覚醒剤の使用が疑われる事件では、尿検査が重要な証拠となることがあります。
尿から覚醒剤成分が検出された場合、その結果は本人が覚醒剤を摂取したことを示す重要な証拠となります。
そのため、
「自分では使った覚えがない。」
「知らないうちに体内に入った。」
などと説明する場合であっても、その説明だけで当然に使用の故意が否定されるわけではありません。
捜査機関は、尿の鑑定結果だけでなく、
  • 本人の供述
  • 覚醒剤や使用器具の有無
  • 事件前後の行動
  • 関係者とのやり取り
  • その他の客観的証拠
などを踏まえて捜査を行います。
覚醒剤の使用を否認する事件では、単に「使っていない」と主張するだけではなく、尿から覚醒剤成分が検出された理由について、客観的な事情を含めて検討する必要があります。

覚醒剤事件を否認する場合に注意すべきこと

覚醒剤事件では、
「覚醒剤だとは知らなかった。」
「自分の物ではない。」
「覚醒剤を使用した覚えはない。」
など、本人が犯罪の成立を争う場合があります。
否認事件では、本人の説明だけではなく、客観的な証拠との整合性が非常に重要です。
例えば所持事件であれば、
  • 覚醒剤がどこから発見されたのか
  • その場所を誰が管理していたのか
  • 他に誰が出入りしていたのか
  • 覚醒剤の存在を本人が認識していたといえるのか
などが問題となります。
使用事件であれば、尿等の鑑定結果が存在する場合には、その証拠との関係を踏まえて本人の説明を検討する必要があります。
覚醒剤事件では、客観的証拠が存在する場合も多いため、事実と異なる説明を無理に作ることは適切ではありません。
一方で、本人が本当に覚醒剤の所持や使用を認識していなかったのであれば、捜査機関の見方に合わせて安易に認めればよいというものでもありません。
まず証拠関係と事実経過を整理することが重要です。

スマートフォンは調べられるのか

覚醒剤事件では、スマートフォンが重要な証拠となることがあります。
例えば、
  • 覚醒剤の購入に関するやり取り
  • SNSやメッセージアプリでの連絡
  • 送金履歴
  • 関係者との連絡
  • 写真やその他のデータ
などが捜査対象となる場合があります。
特に、単純な自己使用・所持にとどまらず、覚醒剤の譲渡や入手経路、共犯者などについて捜査が行われている場合には、スマートフォン内の情報が重要となることがあります。
もっとも、具体的にどのような捜査が行われるかは事件によって異なります。
捜査対象になった後に、関係者へ連絡して口裏合わせをしたり、他人を介して証拠を隠したりする行為は避けるべきです。

覚醒剤の初犯でも実刑になるのか

覚醒剤事件で本人や家族が特に心配することの一つが、
「刑務所へ行くことになるのか。」
という点です。
刑事裁判の結果は、初犯か再犯か、使用・所持の態様、覚醒剤の量、事件の経緯、本人の反省、更生環境など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。
初犯の単純使用・単純所持事件では、事案によっては執行猶予付き判決となることがあります。
もっとも、
「初犯なら必ず執行猶予になる」
と断言することはできません。

覚醒剤事件では、単に前科がないというだけでなく、再び薬物を使用しないための具体的な環境を整えることが重要です。

覚醒剤の再犯では実刑になるのか

覚醒剤事件では、再犯が大きな問題となります。
覚醒剤への依存がある場合、一度刑事処分を受けた後に再び使用してしまうケースもあります。
覚醒剤の前科がある場合には、
  • 過去にどのような刑を受けたのか
  • 前回の事件からどの程度期間が経過しているのか
  • 執行猶予中の事件なのか
  • 今回の使用・所持の態様
  • 事件後にどのような再犯防止策を取っているのか
などが重要となります。
再犯事件では初犯よりも実刑のリスクが高くなるため、早い段階から量刑を見据えた弁護活動を行う必要があります。

覚醒剤事件では示談よりも再犯防止が重要になることがある

暴行・傷害や性犯罪などでは、被害者との示談が刑事処分を判断する上で重要となる事件が多くあります。
一方、覚醒剤の自己使用や自己使用目的の所持事件では、通常、特定の被害者との示談によって解決するという性質の事件ではありません。
そこで重要となるのが、再犯防止に向けた具体的な取組です。
覚醒剤には依存の問題が伴うことがあります。
単に、
「もう二度と使いません。」
「反省しています。」
と述べるだけではなく、
  • 薬物依存について専門医療機関を受診する
  • 継続的な治療を開始する
  • 薬物依存からの回復支援を受ける
  • 家族が生活状況を把握し、監督・支援する
  • 薬物使用につながった人間関係や生活環境を見直す
など、具体的な行動を始めることが重要です。
薬物事犯では、依存からの回復に向けた治療・支援を継続する必要性が公的にも指摘されています。
当事務所でも、覚醒剤事件の情状弁護では、本人の反省を述べるだけでなく、専門医療機関への通院状況や家族による監督・支援など、再犯防止に向けた具体的な取組を裁判所へ示すことを重視しています。

家族は何をすればよいのか

家族が突然覚醒剤事件で逮捕された場合、
「何をすればよいのか分からない。」
という方も多いでしょう。
まず、本人がどこに留置されているのか、どのような容疑で逮捕されているのかを確認する必要があります。
その上で、弁護士を通じて本人から事情を確認し、今後の対応を検討します。
覚醒剤事件では、家族の役割が重要になることがあります。
例えば、
  • 釈放後の居住場所を確保する
  • 本人の生活を監督する
  • 専門医療機関への通院に協力する
  • 薬物関係者との関係を断つための環境を整える
  • 公判で家族による支援・監督体制を示す
などです。
本人だけに「もう使わない」と約束させるのではなく、家族を含めた具体的な更生環境を作ることが重要です。

起訴された後に保釈を請求できるのか

逮捕・勾留された覚醒剤事件で起訴された場合には、保釈を請求することができます。
保釈は、原則として起訴後の被告人について問題となる制度であり、逮捕・勾留中の被疑者段階で行うものではありません。
覚醒剤事件でも保釈が認められることはあります。
もっとも、
  • 証拠隠滅のおそれ
  • 関係者との接触のおそれ
  • 逃亡のおそれ
  • 帰住先
  • 家族の監督体制
などが問題となることがあります。
そのため、保釈請求では、単に、
「仕事があるので釈放してほしい。」
と主張するだけではなく、釈放後の生活環境や家族による監督、関係者との接触を避けるための方策などを具体的に示すことが重要です。

覚醒剤事件で弁護士ができること

覚醒剤事件では、事件の段階によって弁護士が行う活動も異なります。

逮捕直後の接見

逮捕された本人と接見し、事実関係や取調べの状況を確認します。
本人が認めている事件なのか、否認している事件なのかによっても対応は異なります。

取調べへの対応

本人の認識と異なる供述調書が作成されないよう、取調べへの対応について助言します。
特に否認事件では、本人が何を認め、何を争っているのかを明確に整理することが重要です。

身柄解放に向けた活動

勾留の必要性に争いがある場合には、身柄解放に向けた対応を検討します。
また、起訴後も身柄拘束が続いている場合には、保釈請求を検討します。

再犯防止・情状弁護

罪を認めている事件では、専門医療機関への受診、家族による監督、更生環境の整備などを進めます。
本人が実際に治療を開始し、継続していることを客観的な資料によって示すことも重要です。

否認事件への対応

所持や使用を否認している場合には、捜査機関がどのような証拠を持っているのかを踏まえ、本人の供述と客観的証拠との関係を検討します。
認める事件と争う事件とでは、弁護方針は大きく異なります。

覚醒剤事件でやってはいけないこと

覚醒剤事件について捜査を受けている場合、不安から誤った行動を取ってしまうことがあります。
特に、
  • 売人や一緒に使用した人物へ捜査について連絡する
  • 関係者と口裏合わせをする
  • 他人を介して証拠を隠す
  • 捜査機関に対して事実と異なる説明を作る
といった行動は避けるべきです。
また、否認したいからといって、客観的な証拠と整合しない説明を無理に作ることも適切ではありません。
一方、本当に所持や使用をしていないのであれば、捜査機関から疑われているという理由だけで安易に事実と異なる内容を認めるべきでもありません。
まず事実関係を整理し、弁護士へ相談した上で対応することが重要です。

よくある質問

Q 覚醒剤で逮捕されたら必ず起訴されますか?

必ず起訴されるとは限りません。
起訴・不起訴は証拠関係や事案の内容などを踏まえて検察官が判断します。
ただし、覚醒剤事件では尿の鑑定結果や押収された覚醒剤など、客観的証拠が存在する場合も多いため、事件ごとの証拠関係を確認する必要があります。

Q 覚醒剤の初犯なら刑務所には行きませんか?

初犯の単純使用・単純所持事件では、執行猶予付き判決となる場合があります。
もっとも、初犯であれば必ず執行猶予になるとは限りません。
事件の内容や覚醒剤の量、本人の反省、更生環境、再犯防止への取組などが問題となります。

Q 尿検査で陽性になりました。使用を否認できますか?

本人が実際に覚醒剤を使用していないと考えているのであれば、その事情を検討する必要があります。
もっとも、尿から覚醒剤成分が検出されている場合には、その鑑定結果は重要な証拠となります。
単に「覚えていない」「知らないうちに入った」と述べれば当然に故意が否定されるものではありません。

Q 家族が覚醒剤で逮捕されました。すぐに面会できますか?

逮捕直後には、一般の方がすぐに面会できない場合があります。
また、事件によっては接見等禁止が問題となることもあります。
一方、弁護士は本人との接見を行い、事件の状況を確認することができます。

Q 覚醒剤事件でも保釈されますか?

覚醒剤事件であっても、起訴後に保釈が認められる場合があります。
帰住先、家族の監督、関係者との接触を防ぐための環境などを具体的に整えることが重要です。

Q 家族としてできることはありますか?

あります。
本人の帰住先の確保、生活の監督、専門医療機関への通院支援など、家族による支援は重要です。
特に公判では、本人だけではなく、周囲がどのように再犯防止を支えていくのかを具体的に示すことが重要になる場合があります。

まとめ

覚醒剤事件は、職務質問、家宅捜索、尿検査、他の薬物事件の捜査など、さまざまな経緯から発覚します。
逮捕された場合には、

逮捕
→勾留
→捜査
→起訴・不起訴
→起訴された場合は保釈請求・刑事裁判

という流れで手続が進むことがあります。
覚醒剤事件では、
  • 使用なのか所持なのか
  • 初犯なのか再犯なのか
  • 本人が事実を認めているのか否認しているのか
  • どのような客観的証拠が存在するのか
  • 再犯防止に向けた治療や家族の支援を開始できるか
などによって、取るべき対応が大きく異なります。
また、覚醒剤事件では、被害者との示談によって解決するというよりも、薬物依存の問題に向き合い、再び薬物を使用しないための具体的な環境を整えることが重要になる場合があります。
専門医療機関への通院、家族による監督、更生環境の整備などは、本人のためだけでなく、刑事裁判における情状弁護という観点からも重要です。
当事務所では、覚醒剤の使用・所持事件、初犯・再犯事件、否認事件、逮捕・勾留後の接見、起訴後の保釈請求などについて相談を受けています。
本人が逮捕された場合はもちろん、家族が突然逮捕された場合や、警察から連絡を受けて今後逮捕されるのではないかと不安を感じている場合にも、できるだけ早い段階で弁護士へ相談し、現在の状況と今後の対応を整理することをおすすめします。
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