刑事事件
2026/08/31 2026/09/03

大麻事件で家宅捜索されたら|そのまま逮捕される?スマホ押収・取調べまで弁護士が解説

はじめに

突然、自宅に警察官や麻薬取締官が来て、 「捜索差押許可状が出ています。」 と言われた。
自宅を捜索され、大麻や吸引器具だけでなく、スマートフォンやパソコンまで持っていかれた。

「このまま逮捕されるのでしょうか。」
「今日は帰れたとしても、後から逮捕されることはありますか。」
「スマホの中身はどこまで調べられるのでしょうか。」
「友人や大麻の入手先まで捜査されるのでしょうか。」

大麻事件では、このような状況で弁護士へ相談される方がいます。
大麻事件が発覚する経緯としては、職務質問から大麻が発見されるケースのほか、警察や麻薬取締部による捜査が先行し、ある日突然、自宅などへ家宅捜索が行われるケースもあります。
そして、家宅捜索では、大麻そのものだけが捜査対象になるとは限りません。
スマートフォンなどが押収され、SNSやメッセージ、送金履歴などから、入手先、譲渡先、共犯者、過去の取引などへ捜査が広がる場合があります。
また、家宅捜索当日に逮捕されなかったとしても、 「逮捕されなかった=事件が終わった」 というわけではありません。
本記事では、大麻事件で家宅捜索を受けた場合に、その後どのように捜査が進むのか、逮捕される可能性、スマートフォンの押収・解析、取調べへの対応、そして捜査開始後に避けるべき行動について解説します。
刑事事件でお困りの方は
当事務所へご相談ください!

大麻事件ではなぜ家宅捜索が行われるのか

家宅捜索は、警察が何となく大麻を持っていそうだと考えただけで自由に行えるものではありません。
原則として、裁判官が発付した捜索差押許可状に基づいて行われます。
つまり、家宅捜索が行われた段階では、通常、捜査機関がそれ以前から何らかの資料を収集し、裁判官に令状を請求していることになります。
大麻事件では、例えば、
  • 別の薬物事件の捜査
  • 関係者の供述
  • 大麻の売買に関する情報
  • 通信記録
  • 送金等に関する資料
  • 捜査機関による内偵
などを端緒として、捜査が進んでいる場合があります。
そのため、家宅捜索を受けた場合には、 「なぜ自分が捜査対象となったのか」 を整理することが重要です。

警察だけではなく麻薬取締部が捜査することもある

薬物事件では、警察だけでなく、厚生労働省の地方厚生局麻薬取締部が捜査を行うことがあります。
いわゆる「麻取」です。
麻薬取締官には、薬物犯罪について司法警察員として捜査を行う権限があります。
そのため、 「警察ではない人が家に来たから、刑事事件ではない。」 というわけではありません。
麻薬取締官によって、
  • 捜索差押え
  • 取調べ
  • 逮捕
などが行われることがあります。

家宅捜索では何を押収されるのか

具体的な押収対象は事件によって異なります。
大麻事件では、例えば、
  • 大麻と思われる植物片や製品
  • 吸引器具
  • 計量器
  • 包装資材
  • 現金
  • 帳簿やメモ
  • スマートフォン
  • タブレット
  • パソコン
  • 記憶媒体
などが捜査対象となることがあります。
単純な自己使用目的の事件なのか、譲渡や営利目的まで疑われているのかによっても、捜査機関が注目する物は異なります。
例えば、計量器、包装資材、取引記録等が発見された場合には、その用途や他の証拠との関係が問題となることがあります。

大麻が見つかったらその場で逮捕されるのか

家宅捜索によって大麻が発見された場合、その場で現行犯逮捕されるケースがあります。
もっとも、 大麻事件で家宅捜索を受けた人が必ずその日に逮捕されるわけではありません。
捜索後に帰宅でき、在宅事件として捜査が続く場合もあります。
ただし、当日に逮捕されなかったことだけを理由に、 「もう逮捕されない。」 と判断することもできません。
捜査機関が押収物を確認し、鑑定やスマートフォンの解析、関係者への事情聴取などを行った後、逮捕へ進むこともあります。

在宅事件だったのに後日逮捕されることはある

あります。
当事務所へ相談される大麻事件でも、相談時点では在宅捜査であるケースがあります。
しかし、薬物事件では、その後の捜査によって事件の全体像が変わることがあります。
例えば、
  • 押収物の鑑定結果が出た
  • スマートフォンの解析が進んだ
  • 新たな取引が判明した
  • 関係者の供述が得られた
  • 所持だけでなく譲渡等の嫌疑が生じた
といった事情です。
その結果、後日逮捕される場合があります。
したがって、家宅捜索当日に帰宅できた場合でも、その後の逮捕可能性を含めて対応を考える必要があります。

大麻事件ではスマートフォンが重要な証拠になる

現在の薬物事件で非常に重要なのが、スマートフォンです。
大麻の取引や連絡がオンライン上で行われている場合、スマートフォンには事件に関係する情報が残っていることがあります。
例えば、
  • LINE等のメッセージ
  • SNS上のやり取り
  • Telegramなどを利用した通信
  • 写真や動画
  • 送金に関する情報
  • 連絡先
  • 通話履歴
などです。
これらは、大麻の入手経路や譲渡関係などを捜査する資料となることがあります。

スマホから余罪が発覚することはあるのか

あります。
例えば、家宅捜索のきっかけとなった事件が一つの所持事件だったとしても、スマートフォンの解析等によって、
  • 過去の大麻の購入
  • 他人への譲渡
  • 継続的な取引
  • 他の薬物に関するやり取り
  • 別の関係者
などが捜査対象となることがあります。
そのため、 「今回見つかった大麻だけの事件だろう」 と思っていたところ、その後捜査範囲が広がることもあります。
特に、譲渡や営利目的が疑われる事件では、実際の取引を示す証拠が重要になります。
押収された大麻の量だけではなく、
  • 通信内容
  • 送金履歴
  • 帳簿
  • 実際の譲渡記録
  • 関係者の供述
  • 内偵捜査によって得られた資料
などが総合的に検討されることがあります。

大麻の量が多ければ営利目的になるのか

大麻が比較的多量に押収された場合、 「量が多いので営利目的だと言われるのでしょうか。」 という相談があります。
しかし、押収された大麻の量だけで、直ちに営利目的が決まるわけではありません。
営利目的が問題となる事件では、
  • 大麻の量
  • 保管状況
  • 小分けの状況
  • 計量器等の有無
  • 売買に関する通信
  • 送金履歴
  • 帳簿
  • 実際の譲渡実績
  • 取引の反復継続性
など、さまざまな事情が問題となります。
営利目的については、別の記事で詳しく解説します。

自宅から大麻が見つかれば必ず自分の所持になるのか

これも、必ずしも単純ではありません。
例えば、
  • 配偶者や交際相手と同居している
  • 複数人で住居を利用している
  • 他人も出入りする場所である
といった場合には、発見された大麻について誰が認識し、誰の占有・支配下にあったのかが問題となる場合があります。
「自宅から発見された。」 という事実は重要な事情ですが、それだけですべてのケースについて当然に本人の所持が認定されるというわけではありません。
反対に、 「自分のものではない。」 と述べれば足りるわけでもありません。
発見場所、保管状況、他の所持品との関係、関係者の供述、通信履歴などを含めて検討されることになります。

家宅捜索後の取調べでは何を聞かれるのか

事件によって異なりますが、大麻事件では、
  • 大麻は誰のものか
  • いつ入手したのか
  • 誰から入手したのか
  • いくらで購入したのか
  • どの程度使用していたのか
  • 誰と使用したのか
  • 他人へ譲渡したことがあるか
  • 金銭を受け取ったことがあるか
  • スマートフォン上の人物は誰か
などについて質問されることがあります。
単純所持だと思っていたところ、取調べでは入手先や過去の譲渡について詳しく聞かれることもあります。
これは、捜査機関が本人の事件だけではなく、薬物の流通経路や関係者についても捜査していることがあるためです。

取調べで分からないことまで答える必要はない

突然家宅捜索を受けると、動揺した状態で取調べを受けることがあります。
その中で、 「何か答えなければならない。」 と考え、記憶が曖昧なことについて推測で話してしまう方もいます。
しかし、
  • 覚えていないこと
  • 分からないこと
  • 確信がないこと
について、無理に推測して答える必要はありません。
また、被疑者には黙秘権があります。
一方で、どのような供述方針を取るべきかは、事件の内容によって大きく異なります。
事実を認める事件と、所持や営利目的等を争う事件とでは、対応も異なります。
そのため、重要な取調べを受ける前に、弁護士と事実関係を整理しておくことが有益な場合があります。

家宅捜索を受けた後にやってはいけないこと

売人や薬物関係者へ連絡する

家宅捜索後、 「警察が来た。」 「自分のスマホが押収された。」 などと入手先や関係者へ知らせようとすることは避けるべきです。
捜査機関から、証拠隠滅や口裏合わせを図ったと評価される可能性があります。
特に、逮捕されるかどうかを判断する場面では、証拠隠滅のおそれは重要な要素となります。

共犯者と供述を合わせる

「自分はこう話したから、あなたも同じように話してほしい。」 などと関係者間で供述内容を合わせることも避けるべきです。
薬物事件では、複数の関係者の供述が比較されることがあります。
不自然な供述調整が疑われれば、その後の身柄判断等に悪影響を及ぼす可能性があります。

他人に物を捨ててもらう

自分が家宅捜索を受けた後、 「別の場所に置いてある物を処分してほしい。」 などと家族や友人へ依頼することも避けるべきです。
自分で処分しなければ問題ないというわけではありません。
第三者を介した証拠隠滅が問題となる可能性があります。

捜査についてSNSで発信する

家宅捜索を受けたことや捜査状況をSNS等へ投稿することもおすすめできません。
事件関係者へ情報が伝わることがあります。

スマホのデータを削除すればよいのか

おすすめできません。
家宅捜索を受けた後や、自分が捜査対象になっていることを認識した後に、事件に関係するデータを意図的に削除する行為は、その後の捜査や身柄判断に影響する可能性があります。
また、 「どこまで解析されるのか。」 「削除したデータは復元されるのか。」 といった技術的な問題だけを基準として行動することも適切ではありません。
捜査対象になったと分かった段階では、自己判断で証拠に手を加えず、まず弁護士へ相談することをおすすめします。

家宅捜索後に弁護士へ相談する意味

家宅捜索が終わり、その日に帰宅できた場合、 「逮捕されなかったので、もう少し様子を見よう。」 と考える方もいます。
しかし、家宅捜索後は、むしろ事件の状況を整理する重要な時期です。
弁護士へ相談することで、
  • 何の容疑で捜索されたのか
  • どのような物が押収されたのか
  • 今後どのような捜査が予想されるか
  • 後日逮捕される可能性
  • 取調べへの対応
  • 家族への説明
  • 再発防止策
などを検討できます。
特に、スマートフォンが押収されている場合には、その中にどのような事件関係資料が存在するのかを本人から聴取し、今後捜査がどの範囲まで広がる可能性があるのかを整理することが重要です。

逮捕された場合はどうなるのか

家宅捜索の際、あるいは後日逮捕された場合には、身柄拘束を伴う刑事手続へ移ります。
逮捕後、検察官への送致、勾留請求などへ進み、裁判官が勾留を認めれば、さらに身柄拘束が続く可能性があります。
薬物事件では、入手先や共犯者などが存在することも多いため、関係者との接触や証拠隠滅のおそれが問題となる場合があります。
また、事案によっては接見等禁止決定が付され、家族等との面会や書類等の授受が制限される場合もあります。
そのため、逮捕された場合には、
  • 勾留を避けられないか
  • 勾留決定を争うべきか
  • 家族との接見等禁止を一部解除できないか
  • 起訴後に保釈請求を行うか
など、身柄解放に向けた対応も検討することになります。

初犯なら家宅捜索されても実刑にはならないのか

家宅捜索を受けたからといって、直ちに実刑になるわけではありません。
また、初犯であることは処分や量刑を考える上で重要な事情です。
もっとも、 「初犯=必ず不起訴・執行猶予」 というわけでもありません。
大麻事件では、
  • 所持なのか
  • 施用なのか
  • 譲渡・譲受なのか
  • 営利目的があるのか
  • 栽培を伴うのか
  • 量はどの程度か
  • 反復継続性があるか
  • 前科前歴
  • 再発防止策
などによって処分の見通しが変わります。

薬物専門医療機関への通院を検討する

事実を認めている大麻事件では、早期に再発防止へ取り組むことも重要です。
特に、継続的に大麻を使用していた場合には、薬物問題を専門的に扱う医療機関等への相談を検討することがあります。
刑事裁判となった場合にも、
  • いつから通院を開始したのか
  • どの程度継続しているのか
  • 本人が薬物問題をどのように理解しているのか
  • 今後どのように治療を続けるのか
などを具体的に示すことがあります。
また、家族の協力が得られる事件では、家族による監督や生活環境の改善も重要です。
単に反省文を書くことだけではなく、実際に再犯防止へ向けて行動を開始することが大切です。

よくある質問

Q 家宅捜索されたら必ず逮捕されますか。

必ずではありません。
その日に帰宅し、在宅事件として捜査が進む場合もあります。
もっとも、その後の鑑定やスマートフォン解析等によって後日逮捕されることもあります。

Q 家宅捜索で大麻が見つからなければ事件は終わりますか。

必ずしもそうとは限りません。
2024年12月12日以降は不正な大麻の施用も処罰対象となっており、尿検査その他の証拠に基づいて施用について捜査が進む場合があります。

Q スマートフォンはどこまで調べられますか。

捜査の必要性や令状等の内容によりますが、事件に関係する通信履歴、SNS、写真、送金等の情報が捜査対象となる場合があります。

Q スマホから過去の大麻取引が見つかったらどうなりますか。

その内容によっては、当初の事件とは別の所持、譲受、譲渡等について捜査が広がることがあります。

Q 自宅から大麻が出たら、必ず私の所持になりますか。

必ずしも発見場所だけで決まるわけではありません。
本人の認識や占有・支配関係、発見状況、同居人の存在、関係者の供述などが問題となります。

Q 家宅捜索後に友人へ連絡してもよいですか。

事件関係者や大麻の入手先などへの連絡は避けるべきです。
証拠隠滅や口裏合わせを疑われる原因となる可能性があります。

Q その日に帰宅できました。弁護士への相談はまだ必要ありませんか。

在宅事件でも後日逮捕されることがあります。
また、押収物やスマートフォンの解析によって捜査が広がる可能性もあるため、家宅捜索を受けた段階で一度状況を整理する意味はあります。

まとめ

大麻事件では、職務質問をきっかけとして発覚するケースだけでなく、警察や麻薬取締部による捜査が先行し、突然自宅などへ家宅捜索が行われることがあります。
家宅捜索では、大麻そのものだけでなく、
  • 吸引器具
  • スマートフォン
  • パソコン
  • 帳簿
  • 計量器
  • 送金や取引に関する資料
などが押収されることがあります。
そして、現在の薬物事件では、スマートフォンの解析が非常に重要です。
SNSやTelegram等の通信、送金履歴、取引記録などから、当初の所持事件だけではなく、譲受、譲渡、営利目的、関係者などへ捜査が広がることがあります。
また、家宅捜索当日に逮捕されなかったからといって、その後も逮捕されないとは限りません。
押収物の鑑定やスマートフォン解析、関係者への捜査を経て、後日逮捕されることもあります。
その一方で、捜査を受けていることが分かった後に、
  • 売人や共犯者へ連絡する
  • 関係者と口裏合わせをする
  • 他人を介して証拠を処分する
  • 事件に関するデータを意図的に削除する
といった行動を取ることは避けるべきです。
事実を認めている事件では、薬物専門医療機関への通院や家族による支援など、再発防止に向けた具体的な行動を早期に開始することも重要です。
大麻事件では、家宅捜索が終わった時点が事件の終わりではなく、その後の捜査の始まりとなることがあります。
家宅捜索を受けた場合、スマートフォンを押収された場合、その日は帰宅できたものの後日の逮捕が不安な場合には、できるだけ早い段階で薬物事件を扱う弁護士へ相談することをおすすめします。
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