刑事事件
2026/10/08 2026/10/07

海外で大麻を使用して日本へ帰国したらどうなる?|海外での使用・尿検査・所持との違いを弁護士が解説

はじめに

「海外旅行中に大麻を吸ってしまいました。日本へ帰国した後に逮捕されることはありますか。」
「大麻の使用が認められている国で吸った場合でも、日本人なら日本の法律で処罰されるのでしょうか。」
「帰国後に尿検査を受けて大麻の成分が検出されたらどうなりますか。」

海外旅行や海外出張などで、大麻(マリファナ)の使用が一定の条件のもとで認められている国や地域を訪れる方もいます。
現地で大麻を使用した後、日本へ帰国してから、
「日本では大麻が禁止されているので、海外で吸ったことも犯罪になるのではないか。」
と不安になる方もいるでしょう。
日本では、2024年12月12日に改正法が施行され、大麻等の不正な施用についても、麻薬及び向精神薬取締法による処罰の対象となりました。法律上は、一般に使われる「使用」ではなく「施用」という言葉が用いられています。
もっとも、ここで注意しなければならないのは、
「日本国内では大麻の施用が処罰される」ことと、「海外で行った大麻の施用について帰国後に日本で処罰される」ことは同じではない
という点です。
また、海外で大麻を「吸った」という行為と、現地で大麻を「購入した」「譲り受けた」「所持した」という行為、さらに大麻や大麻由来成分を含む製品を「日本へ持ち込んだ」という行為も、それぞれ分けて考える必要があります。
本記事では、海外で大麻を使用して日本へ帰国した場合に、日本の法律上どのような問題が生じるのか、海外での施用と所持・譲受けの違い、帰国後の尿検査、日本への大麻の持込みなどについて、弁護士が解説します。
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当事務所へご相談ください!

2024年12月から日本では大麻の「施用」も処罰対象となった

まず、日本国内における大麻規制について確認しておきましょう。
2024年12月12日に改正法が施行されたことにより、大麻等の不正な施用についても、麻薬及び向精神薬取締法による禁止・罰則の対象となりました。
そのため、現在では、
「大麻を持っていなければ問題ない。」
「吸っただけなら処罰されない。」
という認識は正しくありません。
日本国内で大麻を不正に施用した場合には、所持している大麻が発見されなかったとしても、施用について刑事責任が問題となる可能性があります。
大麻の施用罪や尿検査、捜査の流れについては、関連記事で詳しく解説しています。

海外で大麻を使用しただけでも日本で処罰されるのか

ここは、今回のテーマで特に重要な点です。
結論からいうと、海外で大麻を施用したという行為について、帰国後に当然に日本の大麻施用罪が適用されるわけではありません。
大麻の不正な施用は、現在、日本国内では処罰対象となっています。
しかし、大麻の施用罪については、国外で行われた施用行為を日本で処罰する国外犯処罰規定が適用されないとされています。
法改正時の国会審議でも、政府から、
  • 施用罪には国外犯処罰規定が適用されないこと
  • 海外で大麻を吸引したこと自体には、日本の麻薬及び向精神薬取締法の施用罪は適用されないこと
  • 海外から帰国した人について、直近の海外渡航歴があり、日本国内で施用したことを裏付ける証拠がなければ、尿から大麻の代謝物が検出されたとしても、それだけで立件されるものではないこと
などが説明されています。
したがって、
「海外で大麻を吸った日本人は、帰国した時点で全員が日本の施用罪で処罰される」
という理解は正確ではありません。
ただし、これはあくまで「海外での施用」についての話です。
大麻を吸うまでの過程で行った購入・譲受け・所持などについては、別の検討が必要となります。

海外での「施用」と「所持・譲受け」は分けて考える必要がある

この点は非常に重要です。
大麻に関する行為には、
  • 施用する
  • 購入する
  • 譲り受ける
  • 所持する
  • 他人へ譲り渡す
  • 国外へ持ち出す
  • 日本へ持ち込む
など、さまざまなものがあります。
海外での大麻の「施用」について国外犯処罰規定が適用されないからといって、海外で行った大麻に関するすべての行為について日本法上問題がないという意味ではありません。
大麻の所持、譲受け、譲渡等については、国外で行われた行為にも日本法の国外犯規定が適用される場合があります。
したがって、渡航先で大麻の施用が一定の条件のもとで認められていたとしても、その前後に行った購入・譲受け・所持等について、日本法上も当然に問題がないとはいえません。
現地法上の規制と、日本法上の規制は分けて検討する必要があります。
実際の事件では、
  • どの国や地域に滞在していたのか
  • どこで大麻を入手したのか
  • 購入したのか、他人から受け取ったのか
  • どの程度の量を所持したのか
  • どのくらいの時間所持していたのか
  • 他人へ渡したことがあるのか
  • どこで施用したのか
  • 日本へ持ち帰っていないか
など、具体的な事実関係を確認する必要があります。

「大麻が合法の国」でもルールは国や地域によって異なる

一般に「大麻が合法の国」と表現されることがありますが、大麻に関する規制は国や地域によって大きく異なります。
一定の条件のもとで大麻の使用が認められている国や地域であっても、
  • 年齢
  • 所持できる量
  • 購入できる場所
  • 使用できる場所
  • 販売方法
  • 国外への持ち出し
などについて制限が設けられている場合があります。
そのため、
「旅行先では大麻が合法だと聞いていた。」
というだけで、その国で行ったすべての行為が適法であったとは限りません。
例えば、施用自体が一定の条件で認められていても、購入場所、所持量、使用場所、国外への持ち出しなどについて別の規制が設けられている場合があります。
さらに、現地法上適法であったとしても、それだけで日本法上も問題がないことになるわけではありません。
海外で大麻に関する行為をした後、日本で刑事責任が問題となっている場合には、「現地では合法だった」という一点だけで判断せず、具体的にどのような行為をしたのかを整理することが重要です。

海外で大麻を吸って帰国後に尿検査で陽性になったらどうなる?

海外で大麻を使用した方が特に不安に感じるのが、
「帰国後に尿検査を受けたらどうなるのか。」
という点でしょう。
大麻の施用事件では、尿検査の結果が捜査上の重要な資料となることがあります。
もっとも、
尿から大麻の代謝物が検出されたという事実と、日本国内で大麻を施用したという事実は同じではありません。
法改正時の国会審議では、海外で大麻を吸引して帰国した人について、大麻を所持しておらず、直近の海外渡航歴があり、日本国内で施用したことを裏付ける証拠がない場合には、尿から大麻の代謝物が検出されたとしても、それだけで立件されるものではない旨が政府から説明されています。
実際の事件では、
  • いつ出国したのか
  • いつ帰国したのか
  • 海外のどこに滞在していたのか
  • いつ、どこで大麻を施用したとされているのか
  • 帰国後に大麻を施用したことを示す資料があるのか
  • 大麻の所持や譲受け等も疑われているのか
  • スマートフォン等にどのような資料が残っているのか
などを総合的に確認する必要があります。
したがって、尿検査で陽性反応が出たという一点だけを見るのではなく、施用したとされる時期や場所、海外渡航歴、その他の客観的資料を含めて検討することが重要です。

海外で大麻を購入した場合は「施用」だけの問題ではない

海外で大麻を使用する場合、その前に、
「店舗で購入した。」
「知人から受け取った。」
「友人と一緒に購入した。」
などの経緯があることも考えられます。
この場合、問題となるのは大麻を吸ったという「施用」だけではありません。
購入に伴う「譲受け」や、その後の「所持」などが問題となる可能性があります。
前述したとおり、施用罪については国外犯処罰規定が適用されませんが、大麻の所持・譲受け等については国外犯規定が問題となります。
そのため、
「海外で吸っただけだから、日本では絶対に問題にならない。」
と単純に判断することはできません。
特に、海外で自ら大麻を購入して施用した場合には、「施用」だけではなく、その前段階の購入・譲受け・所持についても事実関係を整理する必要があります。

海外で購入した大麻を日本へ持ち帰ることはできない

海外での施用と、日本への持込みは明確に分けて考える必要があります。
海外で購入した大麻を、
「少し余ったので持って帰った。」
「合法な店で買った商品なので問題ないと思った。」
などとして日本へ持ち込めば、単なる海外での施用とは全く異なる問題になります。
大麻草や大麻樹脂等を日本へ不正に輸入する行為は処罰の対象となります。
つまり、
海外で大麻を施用して帰国することと、大麻そのものを日本へ持ち帰ることは、法律上まったく別の問題です。
「海外の店で普通に販売されていた。」
「現地では合法の商品だった。」
という事情だけで、日本へ自由に持ち込めるわけではありません。

大麻由来成分を含む食品・グミ・リキッド等を持ち帰る場合も注意

海外では、大麻草そのものだけでなく、
  • 大麻由来成分を含む食品
  • グミ
  • チョコレート
  • オイル
  • リキッド
  • その他の大麻由来製品
などが販売されている場合があります。
こうした製品についても、
「植物片ではないから大丈夫。」
「お菓子だから大麻には当たらない。」
と判断することはできません。
現在の日本では、製品に残留するΔ9-THCについて、製品の種類に応じた残留限度値が設定されています。
この基準を超えるΔ9-THCを含有する製品は、麻薬として規制の対象となります。
したがって、海外で適法に販売されている商品であっても、日本国内で同じように適法とは限りません。
帰国時に大麻そのものや大麻由来成分を含む製品を携帯していた場合には、単なる「海外で大麻を使用した」という問題とは切り離して検討する必要があります。

SNSやスマートフォンのデータは捜査で確認されることがある

海外旅行中に、大麻を使用している様子や、大麻を購入した店舗などをSNSへ投稿している場合もあります。
海外で撮影した写真や動画を投稿したという事実だけから、直ちに日本国内で大麻を施用したことになるわけではありません。
もっとも、その内容によっては、
  • どこで撮影されたのか
  • いつ撮影されたのか
  • 何を所持していたのか
  • どこで入手したのか
  • 誰と一緒にいたのか
などを判断する資料となる場合があります。
また、スマートフォンには、SNSへの投稿だけでなく、写真、動画、メッセージ、位置情報、購入に関するやり取りなどが残っていることがあります。
薬物事件では、一つの資料だけではなく、複数の客観的資料や供述を組み合わせて事実関係が検討されることがあります。
そのため、捜査を受ける可能性が生じたからといって、慌ててSNSの投稿、メッセージ、写真等を削除したり、関係者へ連絡して話を合わせたりすることは避けるべきです。
このような行動は、証拠隠滅や口裏合わせを疑われる原因となり、その後の捜査や身柄拘束の判断に影響する可能性があります。
対応に不安がある場合には、自己判断でデータを削除したり関係者へ連絡したりする前に、弁護士へ相談することを検討してください。

帰国後に警察から連絡が来た場合

海外から帰国した後、
「大麻のことで話を聞きたい。」
などと警察から連絡を受ける場合には、何について捜査されているのかを確認することが重要です。
単に海外での施用について確認されているとは限りません。
例えば、
  • 日本国内での施用が疑われている
  • 海外又は国内での所持・譲受けが問題となっている
  • 他の人物の薬物事件から名前が出ている
  • SNSやスマートフォンのデータが確認されている
  • 大麻等の日本への持込みが疑われている
など、さまざまな可能性があります。
このとき、
「海外で吸っただけです。」
と説明すれば必ず問題が解決するとは限りません。
どこで、いつ、誰から、どのように入手し、どのような状態で所持し、いつ施用したのかによって、問題となる行為が異なるためです。
また、記憶が曖昧な部分について、警察から質問されたことで推測して回答することも避けるべきです。
後に客観的な資料と供述内容が食い違った場合、その理由について説明を求められる可能性があります。
警察から連絡を受けた段階で、自分がどのような犯罪について捜査されているのか分からない場合には、取調べを受ける前に弁護士へ相談し、事実関係を整理しておくことが有益です。

海外で大麻を使用した後にやってはいけないこと

帰国後に、
「警察に知られるのではないか。」
「一緒にいた友人が捜査を受けたら、自分のことも話すのではないか。」
などと不安になることがあります。
しかし、そのような不安から、
  • LINEやSNSのメッセージを削除する
  • 写真や動画を削除する
  • 一緒に使用した人へ連絡して話を合わせる
  • 大麻を入手した相手へ捜査状況を確認する
  • 第三者に証拠となり得る物の処分を依頼する
などの行動を取ることは避けるべきです。
薬物事件では、このような行動が証拠隠滅や関係者との口裏合わせを疑われる事情となる可能性があります。
警察から連絡が来た場合の対応に不安があるときは、自己判断でデータを削除したり関係者へ連絡したりせず、弁護士へ相談することが重要です。

海外で大麻を使用したことについて弁護士へ相談する場合

海外で大麻を使用したという相談では、
「海外で吸ったかどうか。」
だけを確認すればよいわけではありません。
例えば、
  • 渡航した国や地域
  • 渡航期間
  • 大麻を施用した日時や場所
  • どのように入手したのか
  • 購入したのか、他人から受け取ったのか
  • どの程度所持していたのか
  • 現地で他人へ渡したことがあるのか
  • 大麻や大麻由来製品を日本へ持ち帰っていないか
  • 帰国後に大麻を施用していないか
  • 警察から連絡を受けているか
  • 尿検査等を受けているか
  • スマートフォンやSNS等にどのような記録があるのか
などを具体的に確認する必要があります。
その上で、海外での施用だけが問題となっているのか、所持・譲受け・輸入など別の行為が問題となる可能性があるのかを整理します。
当事務所では、大麻事件について、海外渡航歴と施用時期との関係、尿検査の結果、スマートフォンに残された資料などが問題となるご相談も取り扱っています。
海外での施用が関係する事件では、「海外で吸った」という一点だけではなく、帰国時期、国内での行動、所持・譲受けの有無などを含めて事実関係を整理することが重要です。
特に警察から既に連絡を受けている場合には、何について事情を聞かれているのかを確認した上で、取調べへの対応を検討する必要があります。

よくある質問

Q 大麻の使用が認められている国で吸っただけでも、日本へ帰国すると逮捕されますか。

海外で行った大麻の施用については、施用罪の国外犯処罰規定は適用されないとされています。
したがって、海外で施用したという事実だけから、帰国後に当然に日本の施用罪で処罰されるわけではありません。
ただし、海外での所持や譲受け、日本への持込みなどがあれば別の問題となるため、具体的な行為ごとに確認する必要があります。

Q 海外で大麻を吸い、帰国後の尿検査で陽性になったら逮捕されますか。

尿から大麻の代謝物が検出されたという事実だけで、日本国内で施用したことが当然に認定されるわけではありません。
国会審議でも、直近の海外渡航歴があり、国内での施用を裏付ける証拠がない場合には、海外で施用した人の尿から代謝物が検出されたという事情だけで立件されるものではない旨が説明されています。
もっとも、実際の事件では、渡航時期、帰国時期、検査時期、スマートフォン等の客観的資料などを含めて検討する必要があります。

Q 海外で大麻を購入した場合も問題ありませんか。

「施用」と「購入・譲受け・所持」は分けて考える必要があります。
大麻の購入は、通常、譲受けや所持を伴います。
大麻の所持・譲受け等については国外犯規定が問題となるため、渡航先で大麻の施用が認められていたとしても、日本法上当然に問題がないとはいえません。
具体的な購入・譲受け・所持の状況を確認する必要があります。

Q 海外で余った大麻を日本へ持って帰ってもよいですか。

日本へ持ち帰ることはできません。
海外で大麻を施用することと、大麻を日本へ持ち込むことは別の行為です。
海外で適法に購入したものであっても、それを日本へ不正に持ち込めば、輸入に関する刑事責任が問題となります。

Q 海外で購入した大麻由来のグミやリキッドなら持ち帰れますか。

海外で合法的に販売されている商品であっても、日本で同じように適法とは限りません。
日本ではΔ9-THCについて製品区分ごとの残留限度値が設けられており、その基準を超える製品は麻薬として規制対象となります。
「現地の店で普通に買えた」という理由だけで、日本へ持ち込んでよいと判断することはできません。

Q まだ警察から連絡はありませんが、弁護士へ相談できますか。

相談することは可能です。
特に、
  • 海外での所持や購入についても不安がある
  • 大麻や大麻由来製品を日本へ持ち帰ってしまった
  • 一緒に大麻を使用した人物が捜査を受けている
  • 警察から連絡が来る可能性がある
  • 帰国後の施用について疑われる可能性がある
などの事情がある場合には、具体的な事実関係を整理した上で、どの行為について刑事責任が問題となる可能性があるのかを確認することが重要です。

まとめ

2024年12月12日の改正法施行により、日本国内では大麻等の不正な施用も処罰対象となっています。
しかし、
「日本で大麻の施用が禁止されている」=「海外で大麻を吸った日本人も帰国後に施用罪で処罰される」
ということではありません。
施用罪には国外犯処罰規定が適用されないため、海外で大麻を施用したという行為そのものについて、帰国後に当然に日本の施用罪が適用されるわけではありません。
一方で、大麻については「施用」だけではなく、
  • 購入・譲受け
  • 所持
  • 譲渡
  • 日本への持込み
などが別の問題となる可能性があります。
特に重要なのは、「海外での施用には国外犯規定が適用されない」ということと、「海外で行った大麻に関する行為はすべて日本法上問題にならない」ということは全く別であるという点です。
また、一般に「大麻が合法の国」と呼ばれている国や地域でも、年齢、購入方法、所持量、使用場所、国外への持ち出しなどについて独自の規制が設けられている場合があります。
そのため、
「海外で合法だったから絶対に問題ない。」
「海外でのことだから日本の法律は一切関係ない。」
と自己判断することは適切ではありません。
海外で大麻を使用した後に日本へ帰国し、警察から連絡を受けた場合や、海外での購入・所持、日本への持込みなどについて不安がある場合には、まず「どこで施用したのか」だけでなく、「どこで、どのように入手し、所持し、その後どうしたのか」まで整理することが重要です。
特に警察から事情聴取や任意出頭を求められている場合には、推測で回答したり、関係者と口裏を合わせたり、メッセージ等を削除したりするのではなく、できるだけ早い段階で薬物事件を取り扱う弁護士へ相談することをおすすめします。
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